スタメン入りを果たし、序盤から2トップの一角として味方からボールを集めて効果的なプレーを見せただけでなく、いきなり結果を出してチームに貢献した21歳に対しては、イマノル・アルグアシル監督、クラブ、ファン、そして現地メディアの多くが賛辞を惜しまなかった。
指揮官は「ゴールもさることながら、私が最も気に入ったのは、久保がハードワークをして、多くのプレーに絡んだこと、そして試合だけでなく、チームに加入したその日からの、彼の取り組み方である。まるで我々は、すでに3年間、一緒に仕事をしてきているかのようだ」と、日本人助っ人を絶賛。対して久保は、「監督は僕を助けてくれています。彼なら、僕の力を120%引き出してくれるでしょう。初日から信頼してくれて、感謝しています」と語っている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1280bf51264f93fcca33057ee4f9cddaaad83432
ソシエダでの公式戦デビューとなったラ・リーガ開幕のカディス戦で決勝ゴールを決めた久保。さらなる躍進が望まれる
そして同メディアは、好スタートを切った久保について、「カディス戦はまだ始まりにすぎないが、ビジャレアル、ヘタフェ、マジョルカでは果たせなかった、ベストバージョンの久保を、ラ・レアルでは披露しようとしている」と期待を寄せ、またソシエダが「完全移籍のアドバンテージをうまく活かしている」とも指摘している。
同じマドリードのスポーツ紙『AS』は、ミケル・メリーノからのロビングパスをうまくコントロールし、利き足ではない右足で力強くしっかりと決めた先制点のプレーを、「プレシーズンで2つの決定機逸を犯した後、3回目、それも公式戦で勝点がかかった瞬間に失敗しなかった」と評価。そして、「夏の間、ずっとシュートを練習してきました」と告白した久保が「ラ・レアルへの適応が非常に速い」ということを示すゴールだったとも評した。
ソシエダの地元紙『noticias de Gipzukoa』は、今季のソシエダの補強がうまくいき、離脱した選手(主役)を新たな戦力でカバーできていると強調。その中で、久保はアドナン・ヤヌザイの穴を埋める存在として機能しており、彼を含めた新チームが戦術面で豊富なオプションや柔軟性を与えるものと高く評価。4-3-3と4-4-2のフォーメーションを並行利用するチームにおいて、久保を含めた新加入選手や昇格選手たちを「純金の価値がある」と称賛している。
一方、日刊紙『El Confidencial』は、アルグアシル監督がカディス戦後に語った「久保は素晴らしい選手に囲まれている」との言葉に注目。2019年のレアル・マドリー加入以来、まだ果たせていない“成功”を収めるために、これは重要な要素であると指摘。過去のレンタルに出されたチームでは得られなかった理想的な環境に彼があることを、指揮官の「チームは何をしなければならないかを理解し、多くのことをうまくやっている」とのコメントで表わした。
また同メディアは、2019-20シーズンでマドリーからソシエダにレンタル移籍して覚醒したマルティン・ウーデゴーにも言及し、ソシエダが2年契約のはずが1年でこのノルウェー人をマドリーの意向によるレンタルバックで失ったことを振り返り、今回の久保については完全移籍の5年契約を結んだことでその心配がないこと、また今なお50%の所有権を持つマドリーに対しても有利な立場にあることを紹介し、久保が落ち着いた状況でプレーに取り組み、成長できることを示している。
ちなみに、久保とマドリーとの関係性に注目する現地メディアも少なくなく、日刊紙『EL ESPANOL』は「久保がマドリーを去ったのは、クラブからの信頼の有無が理由ではなく、EU圏外枠の問題からである。マドリーは、久保の新天地での成長を待っている」、マドリー専門サイト『Defensa Central』は「ソシエダでは、久保の決定的な爆発が迫っている。そしてマドリーは早くも満足し始めている」と、それぞれが、今なおマドリーが久保に熱視線を送っていることを強調した。