「久しぶりに“エグいな”という戦術が出てきた。あれは、指導者みんな見ると思う」。2―1で勝利した15日のチェルシー戦など5試合ほどブライトンをチェックしたという俊輔氏も、驚きを隠さなかった。
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今どきの戦術を逆手に取った感じのやり方
「センターバック(CB)2枚と2ボランチが狭く四角形になってスタートする。左右の幅はおそらくゴールエリアの幅(5.5メートル)」という、厳密な約束事の存在をうかがわせる後方からのビルドアップ。その際、相手ボランチがプレスに出てこなければ、ボールを受けたブライトンのボランチは前を向き、一気に攻撃を加速させる。逆に相手ボランチが出てきた場合は「ボランチの後ろが空くので、そこにトップ下と1トップが下りてくる」という。
さらに相手CBが2トップの動きにつられて前に出てくると「トップ下が前を向いたり、三笘くんとかが斜めに走ったりする」のが特徴。この一連の動きを「新しい戦術。今はどのチームも守備はマンツーマン気味。だから、今どきの戦術を逆手に取った感じのやり方」と感心した。
俊輔氏が続いて関心を寄せたのが、2トップの動きにも関連する、ビルドアップの際の3人目の動きだ。
例えば、右CBからパスを受けた左ボランチのカイセドが、下がってきた1トップ・ファーガソンへ斜めにパス。1トップの落としを右ボランチのグロスが前を向いて受け、そこからさらに右サイドへ展開する。「FW(2トップ)に当てたとき、ボランチが3人目で前を向くようになっている。縦に入れたときの3人目。だから(パスが)常に対角線になっている」
その一連の動きと形を俊輔氏は「Wみたいな感じ」と表現。「CBから(パスが)たすき掛けになっているから、相手はパスカットしづらい。しかも動きが連動していて、本当に守りづらいと思う」と分析する。
その傾向が顕著に表れた試合の一つが、3―0で完勝した1月14日のリバプール戦だ。敵将のクロップ監督は万全の対策を練ってきたが、オランダ代表FWハクポとエジプト代表FWサラーのプレスが緩かったこともあり「縦パスがどんどん前線に入った」という。「言われた戦術だけじゃなくて、相手の立ち位置を認知しながらそれを応用できている。それがどのチームにも通用している理由だと思う」と強さの秘密を指摘した。
俊輔氏はもちろん、森保ジャパンでエースとしての活躍を期待される三笘についても言及。「あのボールを握るサッカー、高い位置で勝負できる戦術などで、また成長している感じはある」と目を見張る。
中でも「斜めに走ったり、走るタイミングが凄くいい」と指摘する。例えば1日のブレントフォード戦で、GKからのロングフィードを右足ループ弾で決めたシーン。「GKが足の裏で(ボールを)転がした瞬間に(中央前にいる)10番が下がってきた。あれも決まり事になっていると思う」と分析し「ああいう発想も、代表に落とし込んでほしい」と期待した。
また、三笘と左サイドを組むエクアドル代表DFエストゥピニャンも絶賛。「あのサイドバックが勢いよく上がってくるから、長い時間、2対1の状況をつくれる。彼には凄く助けられていると思う。だから右足のアウトサイドでボールをちょんちょんして、顔も上げられて勝負できる」と指摘した。「あれだけそろった良い選手の能力をうまいこと引き出すのに、どういう練習しているかは興味がある」と俊輔氏。今季は残り9試合。ブライトン、三笘のさらなる活躍に期待がかかる。