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久保建英が病気の少年を救った“知られざる行動”に番記者も感銘「彼は一生忘れないだろう」


アイトールは7歳の少年だ。

父親の影響を受け、レアル・ソシエダが大好きなレアリスタはしかしここ数か月、体調を崩していた。何度も検査を受けた結果、強迫性障害(OCD)と診断された。この間、理由の分からない慢性的な不調からアイトールを解放したのは、チームの勝利とタケ・クボ(久保建英)の活躍だった。

日本という極東にある異国の出身であるためか、マイクの前での天真爛漫な受け答えのためか、あるいはただ単に相手DFを蹂躙するプレーが観ている者を惹きつけるのか、加入からわずか数か月の間に、タケは子供たちのアイドルになった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/00279598332d3313c8fbd072b319d03809f0951f

久保にまつわる秘話を番記者が明かした


ある日、筆者はアイトールの父親から懇願された。病気の息子にタケからお見舞いのビデオメッセージを送ってもらえるよう取り持ってくれないかという内容だった。そしてタケは喜んでその願いに応えた。

「やあ、アイトール、タケだ。ここアルメリアから元気をいっぱい届けたい。時間があれば、僕たちの試合を見てくれて、僕が君のためにゴールを決めることができればいいね。よろしく」

タケはファンサービスにおいて子供たちに対してとりわけ寛大だ。去年、クラブのあるスポンサーがスーパーマーケットでサイン会を企画した時も、4時間近くかけて、長蛇の列ができる中、1人ひとりに丁寧に対応した。

残念ながら、アイトールとの約束を守ることはできなかった。不可解だったのは、チャンピオンズリーグ(CL)のベンフィカ戦から中2日という日程で試合を組んだラ・リーガの判断だ。キーラン・ティアニーとアンドレ・シウバの戦線離脱が長引き、イゴール・スベルディアとブライス・メンデスが累積警告で欠場する中でも、連戦による疲労を考慮して、タケとミケル・メリーノはベンチスタートとなった。

実際、後半の頭から出場した2人は足に鉛をぶら下げているように動きが重かった。強靭なフィジカルの持ち主のミケル・メリーノはまだ目立たなかったが、タケはいつものキレやスピードからは程遠かった。試合に入るのに苦労し、76分には相手ゴールに背を向けた状態で、アレックス・レミロからの毒入りのフィードを受けた際にコントロールが乱れ、ボールをロスト。失点の原因になった。

タケはファウルを執拗に主張したが認められなかった。もっとも心の中では悔いがあったはずで、その後、挽回を期すべく懸命にプレーした。

執念が実を結んだのは試合終了間際だった。89分に左CKからセルヒオ・アキエメのハンドを誘発し、カルロス・フェルナンデスがそのPKを冷静に沈めソシエダが再び勝ち越しに成功。後半アディショナルタイム5分には、再び左CKからすっかりトレードマークとなったアウトスイングのボールをニアサイドに蹴り込むと、アリツ・エルストンドが頭でそらし、ファーサイドに走り込んだマルティン・スビメンディが押し込んだ。

上位を目指すには、内容が伴わなくても勝点を積み重ねることが重要だ。ソシエダは3日前にCLで極上の輝きを放ったパフォーマンスから何光年もかけ離れた内容で、最下位に沈む相手に辛うじて勝点3を手にした。タケもまたアルメリアで厳しい時間を過ごした。

ただ、少なくともアイトールに勝利を捧げることはできた。彼は今回のことは一生忘れないだろう。父親によると、「タケのビデオメッセージを見てから、息子は涙が止まらない」そうだ。人生において、他人を幸せにできることほど素晴らしいことはないし、サッカーにおいて自分が応援するチームの終了間際の決定的なゴールほど美しいものはない。

次節はインターナショナルマッチウィークを挟んでの開催となる。レアル・ソシエダは26日にホームでセビージャと対戦する。
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