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【セルジオ越後】眠くなったシリア戦。テレビ中継がなくて良かったね。「8連勝」も見栄えがいいだけ。手放しでは喜べない


日本がワールドカップのアジア2次予選でシリアと対戦して、5-0で完勝した。

大差になったけど、想定内の結果でもあった。予想通り、シリアは守って最少失点でしのぎたいというサッカーだった。自陣深くに多くの人数をかけ、とりあえずクリアしておけばOK。攻撃にはまったくつながらない戦い方だった。

2点、3点と失点を重ねても、反撃しようとする姿勢はほとんど見られない。中立地のサウジアラビア開催とはいえ、有利な中東での試合だったにもかかわらず、利点を活かそうとしていなかったね。

森保ジャパンが前半に3得点した時点で勝負の行方は明らかで、そこで試合が終わってしまったと言っていいだろう。後半は、日本がややペースダウンしたこともあって、申し訳ないけど、見ていて眠くなってしまったよ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/01c653e70088d3404198e8755abcd68bb68c2158

格下との試合も意義があるけど…


もっとも、伊東は外せない存在だと改めて思わされた。4アシストは素晴らしかったし、守備を固めてくる相手に対して効果的なポジションを取り、上手く攻略していた。

久保も見事なミドルシュートや個人技が目立っていた。でも、シリアのレベルを考慮しないといけない。強い国が相手ならば、両サイドの伊東と浅野があそこまで高いポジションに居続けられないし、いつも言っているけど、相手が格下なんだから、自分たちが強くなったという“錯覚”には注意しなければならないよ。

アジア2次予選では、グループの2位までが最終予選に進出できる。初戦で日本に0-5で敗れたミャンマーも、リードされても攻撃に出てこなかった。日本以外の3か国は、首位を諦めて2位通過を狙っているんじゃないかな。

シリア戦は日本にとって、ホームで戦っているような展開になった。アジアサッカーの普及のためには、格下との試合も意義がある。ただ、格下の国に進歩が見られない。これだけ明確な力の差があると、双方にとって強化につながるか疑問だ。

またシリア戦は、テレビ中継がなかった。本来は避けなければならない事態だけど、深夜のキックオフでこの内容では、見ても面白くないよね。戦う前から日本の勝利が確定しているならば、放送はなくてもいいんじゃないか。そう考えてしまうような、残念な試合だった。

ミャンマー戦後にも言ったけど、実力差が大きいと不要な怪我につながるリスクもある。制度上、難しいのは分かっていても、アジアカップでワールドカップ予選を兼ね、下位の国・地域のための大会を作り、その勝者が日本などの強豪国と対戦する仕組みにしてほしくなってしまうよね。

これで、日本代表の2023年の試合は終わった。10試合を戦って8勝1分1敗。6月のエルサルバドル戦から「8連勝」と、数字上は見栄えがいいけど、大事なのは内容。相手のレベルを推し量るべきだ。

ドイツに勝ったのは良かった。ただ、ドイツは先日、トルコに負けたし、かつてのような強さがあるのか。そう考えると、手放しでは喜べないよね。分析して評論するためには、そういった観点も必要だ。ワールドカップでのベスト16突破を基準にするべきだ。

年明けには、元日にタイ戦、その後にアジアカップが行なわれる。タイも日本より実力が劣るだろうから強化の面では期待できない一方、アジアカップは貴重な真剣勝負の場だ。ワールドカップのアジアからの出場枠が“8.5”に拡大された今、日本にとっては、より価値の高い大会になっていると感じる。

最近のワールドカップ予選で対戦がない韓国やイランと、公式戦で戦える。森保ジャパンがどんなパフォーマンスを見せるか、今から楽しみだね。


この後、日本代表は2024年1月1日には東京の『国立競技場』で開催されるTOYO TIRES CUP 2024のタイ代表戦に臨む。
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