
https://news.yahoo.co.jp/articles/b120b8d4a7d5a482982d5984654c0dc5efa291a3
外出は禁止され、スタジアムと宿舎の往復となったが、バス移動時は毎回、遠回りをされた

「日本での試合で北朝鮮の選手が来た時に、入国まで3~4時間かかったらしく、そのお返しだったみたいです。平屋の1階で、下がコンクリートで風がビュービュー入ってきて、気温2度ぐらいのところで4時間待たされました」
パソコンや携帯電話は没収され、通信手段が絶たれた。入国後も監視される生活が続いた。
「ホテルのフロアには、銃を持った警備員が常駐していた。部屋の大きな鏡がマジックミラーになっているってうわさもあった。スタジアム近くをバスで通る時は、警備員が民衆の暴動からバスを守るために立っているが、その警備員がバスに中指を立ててくる。守っているのか何なのか、よく分からなかった(笑い)」
外出は禁止され、スタジアムと宿舎の往復となったが、バス移動時は毎回、遠回りをされた。
「20~30分回り道をして、華やかなエリアを通っていた。栄えている様子をアピールしたかったみたいで。30~40階ぐらいのタワーマンションもありましたね」
試合は0―1で敗れた。金日成競技場には約5万人が集結した。
「あのスタジアムはもう、本当に独特。アウェーすぎる。サッカーが好きっていう応援じゃなくて、仕事というか、作業みたいな応援。日本人の国際指名手配犯もいたり(※1)、もうめちゃくちゃです」
日本の突破、北朝鮮の敗退が既に決まっている消化試合(※2)だったが「ドーピングを疑うぐらいに」(栗原氏)、北朝鮮の選手は本気だった。
「力負けだった。北朝鮮の選手は目の色が違うというか。負けたから当然悔しかったが、負けてホッとした感情も正直、ちょっとあって。勝っていたらどうなっていたか…。それぐらい怖かった」
13年ぶりに、日本代表が平壌で試合を行う。
「もちろん勝ってほしいけど、まずは無事に帰ってきてくれれば。常識が通用しないし、本当に何が起きるか分からない国なので」
※1 よど号ハイジャック事件で国際指名手配されている元赤軍派メンバーの若林盛亮容疑者。日本メディアの取材に「朝鮮を応援しようと思ったが、試合を見ているとやはり日本を応援してしまうな」とコメント。
※2 日本は北朝鮮戦の4日前にタジキスタンで行われた試合に4―0で勝利し、最終予選進出を決めていた。