Jリーグで活躍したブラジルの名選手に今と現役時代の裏話を聞くインタビューシリーズ。FC東京とガンバ大阪でJ1、J2通算99ゴールを挙げるなど大活躍したFWルーカスに、今の意外な事業や日本への愛情を語ってもらった。
J1通算268試合90ゴールという輝かしい実績を持つルーカスは現在、不動産業に軸足を置き、フットボールの世界から距離を置いている。ただその一方で「FC東京とガンバ大阪、日本代表、日本人選手をいちファンとして応援している」と語ってもおり、その情熱が尽きたわけではない。
現在の日本代表をどう眺めているか、期待する日本人選手、そして世界を舞台に活躍することを目指す日本人選手へのアドバイスを聞いた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6abcffc07372fe2331800bab0b65f80fedc9a81b
J1通算268試合90ゴールという輝かしい実績を持つルーカスは現在、不動産業に軸足を置き、フットボールの世界から距離を置いている。ただその一方で「FC東京とガンバ大阪、日本代表、日本人選手をいちファンとして応援している」と語ってもおり、その情熱が尽きたわけではない。
現在の日本代表をどう眺めているか、期待する日本人選手、そして世界を舞台に活躍することを目指す日本人選手へのアドバイスを聞いた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6abcffc07372fe2331800bab0b65f80fedc9a81b
Jリーグは「最高の選択だった。人生の宝物だ」
「クボ、君には大きな潜在能力が」と伝えた久保建英16歳の返答は…“不動産業に転身”FWルーカスのFC東京とガンバ、日本愛「僕の人生の宝物だ」(沢田啓明)#jleague #fctokyo #GAMBAOSAKA #ルーカス #久保建英 #daihyo #NumberWeb https://t.co/lyGvFeNahs
— Number編集部 (@numberweb) December 21, 2024
―現在行なわれている2026年ワールドカップ(W杯)アジア予選の日本代表の試合を見ていますか?
「ああ、いつもテレビで見ているよ。2018年と2022年のW杯でグループステージを突破し、とりわけ2022年大会でドイツとスペインを倒したことは、世界に衝撃を与えた。
また、過去のW杯アジア予選では、結果的に突破したとはいえ、かなり苦しんだ試合もあった。しかし、今はほとんどの試合で圧勝しており、アジアでは別次元のチームだ」
―日本代表のW杯での目標はベスト8以上で、優勝も視野に入れています。
「もはや、日本の2026年大会出場を疑う人はいない。問題はW杯でどこまで行けるか。ベスト8に食い込むほどの国は優勝する力を備えた強豪ばかりだから、ベスト8以上を目指すのは優勝を狙うのとほぼ同じことだ。だから、ここからが本当に大変なんだけど、Jリーグ創設以来、日本のフットボールが歩んでいる方向性は全く正しい。今後、さらに実力をつけ、世界の強豪国の仲間入りを果たすと確信している」
―現在の日本人選手では、誰に注目していますか?
「最も才能があると思うのは、久保(建英)。2017年、僕が日本へ行ったときに当時16歳の彼がFC東京にいて、クラブの練習場で会った。素晴らしいテクニックの持ち主で、状況判断も素晴らしい。彼はスペイン語が流暢なので、直接話をした(注:スペイン語とポルトガル語は共通の言葉が多く、文章の構造も似ているので、概ね意思が通じる)」
―どんなことを話したのですか?
「君には大きなポテンシャルがある。FC東京のため、そして日本のフットボールのために頑張ってくれ、と伝えた。『わかりました』と大きく頷いていた」
―現在、日本代表のCFは上田綺世と小川航基がポジションを争っています。
「2人とも良い選手だね。上田はオールラウンドなCFで、ポストプレーもうまい。小川は、アグレッシブなCFで、ヘディングが強く、勝負強い。どちらかと言うと、僕の好みは小川かな」
―その他のアタッカーで期待する選手は?
「ブライトンの三笘薫は、素晴らしいドリブルの持ち主。決定力も高めつつある。近い将来、さらに大きなクラブへ移って成長を続け、日本代表でも主軸を担い続けるはずだ」
―欧州でプレーする日本人選手、これから欧州での飛躍を目指す日本人へのアドバイスはありますか?
「現地の言葉を覚え、チームメイト、クラブ関係者、そして地元の人々に馴染んでほしい。そして、リーグのプレースタイルとチーム戦術を尊重しながらも自分の特長を最大限に生かすプレーをすることを常に念頭に置いてもらいたい」
―Jリーグの動向はフォローしていますか?
「ブラジルではテレビ中継がないから、詳しく追うのは難しい。でも、FC東京とガンバ大阪の試合の結果と順位はいつもチェックしており、得点シーンなどは見ている。今年、両チームとも優勝には手が届かなかった。来年こそ、どちらかが優勝してほしい」
―ガンバ大阪は、ACLを1回、Jリーグを2回、天皇杯を4回、Jリーグカップを2回制しています。一方、FC東京は天皇杯を1回、Jリーグカップを3回制覇していますが、まだJリーグで優勝していません。何が足りないのでしょうか?
「クラブの運営、練習施設、サポーターとファンの応援は申し分ない。足りないものがあるとすれば、クラブの根幹を成す哲学とそれを体現する選手、そして勝者のメンタリティーだけだと思う。準優勝が多く、『銀メダルコレクター』と言われていた川崎フロンターレが2017年に悲願のJリーグ初制覇を達成したら、その後、立て続けに優勝した。ヴィッセル神戸だって、去年初優勝したら、今年も連覇を遂げた。FC東京も、一度優勝して自信をつけたら、以後は続けざまにタイトルを取るんじゃないかな」
―今、日本のフットボール関係者に伝えたいことは?
「日本人の誠実さ、生真面目さ、勤勉さは、世界のどこの国でも立派に通用する。それは、複雑怪奇なフットボールの世界でも変わらない。
引き続き、Jリーグを発展させ、レベルを高め、良い選手を生み出してほしい。また、クラブは自分たちが育成した選手の価値を正しく認識し、適正な条件で外国のクラブへ送り出して財政を整え、それによって手にした資金をさらなる選手育成に再投資するべきじゃないかな」
―日本のファンへ向けて。
「こうしてあなたが僕をインタビューしてくれるのは、日本の人々が僕のことをまだ覚えていてくれるからだと思う。本当に嬉しい。日本で過ごした10年近い歳月は、僕の人生の宝物だ。引退後も、FC東京とガンバ大阪のイベントなどに呼んでもらって日本へ行くことがあるし、実はプライベートでも何度か行って、一観光客として日本を楽しんでいる。
ミナサン、マタ、オアイシマショウ!」
ブラジルのクラブで英雄となり、U-23に選ばれて五輪に出場しながら、当時では破格となる約33億円もの移籍金で渡ったフランスでは結果を残すことができなかった。キャリアの曲がり角で日本のクラブからオファーを受け、日本語を学んで日本に溶け込み、東京と大阪の強豪クラブで計9年半、プレーした。
率直に言って、もし彼が欧州で活躍していたら、セレソン(ブラジル代表)に選ばれていた可能性は非常に高い。そして、その先にW杯出場があったかもしれない。
それがわかっていながら、彼は「自分のキャリアの最も重要な時期を日本で過ごしたことに、全く後悔はない。自分にとって最高の選択だった」と言い切る。
Jリーグで結果を残したブラジル人の選手や監督からは、日本と日本人への愛着を表現する言葉を聞くことが多い。しかし、「日本と日本人が、どん底で喘いでいた僕を救ってくれた。僕は、日本で選手としても人間としても生まれ変わった」という彼の言葉に強い感銘を受けた。
「ああ、いつもテレビで見ているよ。2018年と2022年のW杯でグループステージを突破し、とりわけ2022年大会でドイツとスペインを倒したことは、世界に衝撃を与えた。
また、過去のW杯アジア予選では、結果的に突破したとはいえ、かなり苦しんだ試合もあった。しかし、今はほとんどの試合で圧勝しており、アジアでは別次元のチームだ」
―日本代表のW杯での目標はベスト8以上で、優勝も視野に入れています。
「もはや、日本の2026年大会出場を疑う人はいない。問題はW杯でどこまで行けるか。ベスト8に食い込むほどの国は優勝する力を備えた強豪ばかりだから、ベスト8以上を目指すのは優勝を狙うのとほぼ同じことだ。だから、ここからが本当に大変なんだけど、Jリーグ創設以来、日本のフットボールが歩んでいる方向性は全く正しい。今後、さらに実力をつけ、世界の強豪国の仲間入りを果たすと確信している」
―現在の日本人選手では、誰に注目していますか?
「最も才能があると思うのは、久保(建英)。2017年、僕が日本へ行ったときに当時16歳の彼がFC東京にいて、クラブの練習場で会った。素晴らしいテクニックの持ち主で、状況判断も素晴らしい。彼はスペイン語が流暢なので、直接話をした(注:スペイン語とポルトガル語は共通の言葉が多く、文章の構造も似ているので、概ね意思が通じる)」
―どんなことを話したのですか?
「君には大きなポテンシャルがある。FC東京のため、そして日本のフットボールのために頑張ってくれ、と伝えた。『わかりました』と大きく頷いていた」
―現在、日本代表のCFは上田綺世と小川航基がポジションを争っています。
「2人とも良い選手だね。上田はオールラウンドなCFで、ポストプレーもうまい。小川は、アグレッシブなCFで、ヘディングが強く、勝負強い。どちらかと言うと、僕の好みは小川かな」
―その他のアタッカーで期待する選手は?
「ブライトンの三笘薫は、素晴らしいドリブルの持ち主。決定力も高めつつある。近い将来、さらに大きなクラブへ移って成長を続け、日本代表でも主軸を担い続けるはずだ」
―欧州でプレーする日本人選手、これから欧州での飛躍を目指す日本人へのアドバイスはありますか?
「現地の言葉を覚え、チームメイト、クラブ関係者、そして地元の人々に馴染んでほしい。そして、リーグのプレースタイルとチーム戦術を尊重しながらも自分の特長を最大限に生かすプレーをすることを常に念頭に置いてもらいたい」
―Jリーグの動向はフォローしていますか?
「ブラジルではテレビ中継がないから、詳しく追うのは難しい。でも、FC東京とガンバ大阪の試合の結果と順位はいつもチェックしており、得点シーンなどは見ている。今年、両チームとも優勝には手が届かなかった。来年こそ、どちらかが優勝してほしい」
―ガンバ大阪は、ACLを1回、Jリーグを2回、天皇杯を4回、Jリーグカップを2回制しています。一方、FC東京は天皇杯を1回、Jリーグカップを3回制覇していますが、まだJリーグで優勝していません。何が足りないのでしょうか?
「クラブの運営、練習施設、サポーターとファンの応援は申し分ない。足りないものがあるとすれば、クラブの根幹を成す哲学とそれを体現する選手、そして勝者のメンタリティーだけだと思う。準優勝が多く、『銀メダルコレクター』と言われていた川崎フロンターレが2017年に悲願のJリーグ初制覇を達成したら、その後、立て続けに優勝した。ヴィッセル神戸だって、去年初優勝したら、今年も連覇を遂げた。FC東京も、一度優勝して自信をつけたら、以後は続けざまにタイトルを取るんじゃないかな」
―今、日本のフットボール関係者に伝えたいことは?
「日本人の誠実さ、生真面目さ、勤勉さは、世界のどこの国でも立派に通用する。それは、複雑怪奇なフットボールの世界でも変わらない。
引き続き、Jリーグを発展させ、レベルを高め、良い選手を生み出してほしい。また、クラブは自分たちが育成した選手の価値を正しく認識し、適正な条件で外国のクラブへ送り出して財政を整え、それによって手にした資金をさらなる選手育成に再投資するべきじゃないかな」
―日本のファンへ向けて。
「こうしてあなたが僕をインタビューしてくれるのは、日本の人々が僕のことをまだ覚えていてくれるからだと思う。本当に嬉しい。日本で過ごした10年近い歳月は、僕の人生の宝物だ。引退後も、FC東京とガンバ大阪のイベントなどに呼んでもらって日本へ行くことがあるし、実はプライベートでも何度か行って、一観光客として日本を楽しんでいる。
ミナサン、マタ、オアイシマショウ!」
ブラジルのクラブで英雄となり、U-23に選ばれて五輪に出場しながら、当時では破格となる約33億円もの移籍金で渡ったフランスでは結果を残すことができなかった。キャリアの曲がり角で日本のクラブからオファーを受け、日本語を学んで日本に溶け込み、東京と大阪の強豪クラブで計9年半、プレーした。
率直に言って、もし彼が欧州で活躍していたら、セレソン(ブラジル代表)に選ばれていた可能性は非常に高い。そして、その先にW杯出場があったかもしれない。
それがわかっていながら、彼は「自分のキャリアの最も重要な時期を日本で過ごしたことに、全く後悔はない。自分にとって最高の選択だった」と言い切る。
Jリーグで結果を残したブラジル人の選手や監督からは、日本と日本人への愛着を表現する言葉を聞くことが多い。しかし、「日本と日本人が、どん底で喘いでいた僕を救ってくれた。僕は、日本で選手としても人間としても生まれ変わった」という彼の言葉に強い感銘を受けた。
「借金は嫌だから自己資金。100軒売ったよ」不動産業で大成功…J通算99発ブラジル人FWの“意外な引退後”「33億円移籍で挫折」の真相も語る(沢田啓明)#jleague #fctokyo #GAMBAOSAKA #ルーカス #NumberWeb https://t.co/7HgGneo1lz
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