FIFAワールドカップ(W杯)カタール2022の開幕が目前に迫っている。日本代表は23日、グループステージ初戦でドイツ代表との対戦を控えているが、ドイツは日本のことをどのように見ているのだろうか。DAZN News ドイツ版編集部のフレデリック・ミュラー氏が、ドイツ代表の予想スターティングメンバーや試合展望など、日本代表戦について語った。
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日本代表戦のキーマンは「最終ラインを統率する男と、19歳の新鋭FW」
これまでに好んで採用されている4-2-3-1システムで、固定されたポジションはごくわずかだ。昨日(※日本時間11月17日)に行われたオマーンとの強化試合で、(ハンジ・)フリック監督はベストメンバーを試さなかった。代わりに、試合を実験とリカバリーの場として、2名(FWユスファ・ムココとFWニクラス・フュルクルク)を代表デビューさせた。スターティングメンバーを予想するのは困難だ。
GKマヌエル・ノイアーについては言うまでもないだろう。DFアントニオ・リュディガーは守備陣のリーダーとなるはずだが、レアル・マドリードで怪我をしてしまった。練習合流は土曜日(19日)になる見込みだ。状態が戻ればプレーすることになるだろう。リュディガーの周囲を固める3人は固定されていないが、DFヨシュア・キミッヒは間違いなくメンバーに入るだろう。守備的MFの相棒として、レオン・ゴレツカかイルカイ・ギュンドアンのどちらがキミッヒの隣に入るのか、楽しみだ。フリックはこの3人を同時に起用する方法も見出すことだろう。
攻撃陣のオプションは沢山ある。中央でFWジャマル・ムシアラにプレーしてほしいと願うファンは多いだろう。ムシアラはおそらく、ここまでのブンデスリーガで最高のドイツ人選手だった。左右のウイングにはFWレロイ・サネとFWセルジュ・ニャブリが先発で起用される可能性が最も高い。ゴレツカがキミッヒの隣で先発することになれば、中盤から攻撃陣までの5人のブロックが、先月猛威を振るったバイエルン・ミュンヘンの選手で構成されることもあり得る。FWトーマス・ミュラーが入る可能性もあるが、負傷の影響でブンデスリーガの直近7試合を欠場している。リュディガーと同じく、土曜日にチーム練習へと合流することになっている。
だが、MFヨナス・ホフマンという選択肢もある。フリックのお気に入りとして右ウイングで起用されている選手だ。フリックが代表監督になって以来、ほぼ全ての試合に出場している。前線では、MFカイ・ハフェルツがストライカーのポジションで先発するだろう。初選出のムココやフュルクルクが代わりに先発することは考えづらい。
まとめると、ノイアー、リュディガー、キミッヒは確実だろう。ムシアラもおそらく先発だ。数ある可能性の一つとして挙げるのであれば、先発予想は次のようになる。ノイアー、ホフマン、シュロッターベック、リュディガー、ラウム、キミッヒ、ゴレツカ(ギュンドアン)、ニャブリ、ムシアラ、サネ、ハフェルツだ。
―キープレイヤーは誰ですか?理由も教えてください。
2人の名前を挙げたい。1人目はリュディガー。2014年のW杯以降、ファンはずっとこう言い続けてきた。「ディフェンスはドイツ代表の弱点だ」と。フィールドで可能な限り守備力を引き出すためには、技術やアグレッシブさだけでなく、ボス的存在としてチームをまとめるリュディガーが欠かせない。現在はレアル・マドリードでプレーしており、統率力やリーダーシップにさらに磨きがかかっている。国際試合の経験でも他のDFを上回る。だからこそ、初戦でリュディガーが怪我から復帰していることが非常に重要だ。他の選手が最終ラインを統率する姿は想像しがたい。
もう1人はムシアラだ。19歳という年齢や、W杯初出場であることは全く関係ない。ムシアラは、バイエルン・ミュンヘンに所属する選手として、すでに100試合以上に出場している。センセーショナルな選手であり、目下絶好調と言える。ほぼ全ての試合で得点やアシストを記録しているし、創造的なプレーでチームに創造性をもたらし、物怖じしないプレーを見せている。予測不能なプレーをしてくれるはずだ。現在の絶好調ぶりを代表チームに持ち込むことができれば、喜びとともに素晴らしい雰囲気を作り出してくれるはずだ。ムシアラは周囲にも利益をもたらしてくれる。フリックは彼にとって最初の代表監督だが、ムシアラは現指揮官のブレークのきっかけを作った張本人だ。チャンスは十分にあると思われる。
―試合はどうなると思いますか?
拮抗し、戦術的にも技術的にも互角の内容になるだろう。だが、あまりスペクタクルは期待できない。ドイツがほとんどの時間でボールを持つことになりそうで、少々のアドバンテージがあるかもしれない。だが、この試合はW杯の初戦であり、両チームとも負けないことを最も重要視するはずだ。チャンスは多くなく、高いリスクも冒さないと見る。両チームとも、相手ゴール前での決定力が重要になりそうだ。
―ドイツ国内では、日本代表戦に関してどのように予想されていますか?
シンプルに、ファンは勝利を期待している。ハイレベルなDFが不在で最終ラインが弱いことや、ストライカーに特化した得点を量産できる選手を欠いていることなど、現在のドイツ代表にはいくつか課題がある。それどころか、前回大会の結果は最悪(16カ国による決勝トーナメント方式に変更された1986年大会以降、同国史上初のグループステージ敗退)だったが、日本代表が良いチームであろうとなかろうと(実際良いチームだが)、依然としてドイツの方が優勢だ。もし初戦でしくじることになれば……。結果だけでなく、特にパフォーマンスの面で失敗すれば、2018年大会やEURO2020でもそうであったように、再びムードが悪くなってしまうだろう。そして、忘れてはならないのが、2試合目の相手がスペイン代表だということだ。
ドイツ代表が素晴らしいチームで、素晴らしい選手を揃えていることは誰もが認めるところだ。だが、2018年大会やEURO2020もそうだったものの、それだけではどうにもならなかった。雰囲気、気迫、自信といったところに、結果は大きく依存している。
―日本代表をどのように評価していますか? また、チームのスタイルをどのように分析していますか?
戦術的に統率が取れており、技術的に良いレベルにある。モチベーションが高く、良好なメンタリティがある。素早く、フィジカルのレベルも良い。だが、トップクラスの選手が不足しているように感じる。DF冨安健洋はアーセナルで成功しており、MF鎌田大地はここ数年ドイツで好調なフランクフルトの主要選手だ。だが、この2人を除けば、世界のトップクラブに所属する選手はいないと思う。
しかし、日本代表には、2部の1人を含めてブンデスリーガでプレーする選手が7人もいる。彼らはドイツの選手とプレースタイルを熟知している。日本代表のことを「ブンデスリーガの良いチームみたいだ」と評する声も聞く。そして、ブンデスリーガ最高クラスのチームは、平均レベルのチームを相手に苦戦することが往々にしてある。ドルトムントを見れば分かるだろう。
―日本代表の重要選手は誰でしょうか?理由も教えてください。
鎌田だね。彼は素晴らしい選手だ。今シーズンのフランクフルトでMFマリオ・ゲッツェ、MFイェスパー・リンドストロム、FWランダル・コロ・ムアニらと連携しているのは見ていて楽しい。フランクフルトが突然タイトルを獲得できるチームになった昨シーズンもそうだった。ボール保持時に優れた技術を発揮し、アグレッシブで、カウンターアタックで危険な存在となり、得点の効率が非常に良い。そして、今彼は自信に満ちあふれているはずだ。問題は、鎌田自身がストライカーではないことと、彼の前に同レベルの選手がいないことだ。FW南野拓実が該当するかもしれないが、同じくストライカー的な選手ではない。MF久保建英やMF堂安律についても同様だ。日本代表にとって重要なのは、中盤の選手が得点を決めること。ドイツ代表にとっても同じことが言えるだろう。
MF遠藤航は頭部の怪我から復帰できそうだ。彼のメンタリティ、ボールに対する強さやタックルの強度が重要になると思われる。もちろん、DF吉田麻也を見られるのも楽しみだ。シャルケでは苦しんでいるが、それはシャルケに強力なアタッカーがいないからだ。現在のシャルケは良いチームではないが、それはさておき、吉田はクラブでも代表チームでも責任感を持ってリーダーシップを発揮している。代表チームで121試合に出場している事実には目を見張るものがある。この記録はドイツの選手の誰よりもはるかに突出している(ノイアーとミュラーを除く)。
―FW大迫勇也が落選したことには驚きましたか?
ブレーメンを退団してから彼のプレーを追えていなかったので、正直に言えば気がつかなかった。だが、ヴィッセル神戸で記録しているスタッツは素晴らしいようだし、彼は経験豊かな選手でもある。監督は、大迫の代わりにボーフムのFW浅野拓磨をカタールに連れて行った。難しい決断だっただろう。パフォーマンスや結果次第で、この決断が後に議論となる可能性もある。
そして、ケルンの一ファンとしても今回の落選はとても残念だった。もちろん、私達はまだ大迫のことを高く評価しているのだから。
―ドイツ代表にとって、日本代表戦の結果はどうなると思いますか?
個人的な予想では、日本代表はタフな対戦相手だから、ほとんどの時間帯でギリギリの試合になるだろう。だが結局は、怪我から回復したリュディガーと敏捷なムシアラを擁するドイツが2-0で勝つと予想する。勝利を確実にするには、おそらくノイアーは1つか2つ決定的なセーブをしないといけないはずだ。
コメント
沢山サッカー見ようぜ
ドイツ人はドイツにいない選手を全然知らない
それもそうか
ムシアラとやらを冨安がポケットに入れる
ドイツに勝つ為には、ムシアラとニャブリを抑える事が重要かなと。特に勢い男のニャブリは調子づくと手が付けられなくなる。如何に頭から抑えるかだと思う。
それと日本の上田の様な選手はドイツは充分に対応出来るが、三笘や伊東のスタイルは苦手だと思う。活躍出来る気がするね。