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「日本代表を背負えるのは俺しかいない」と本気で思っています
堂安 (吉田)麻也くんや(長友)佑都くんのような選手が一番信頼されるし、価値のある選手だと思い知らされましたね。やっぱりどれだけ個人技があっても、周りにポジティブな影響を与えられないなら意味がないですから。
まさにアルゼンチンを優勝に導いたメッシの立ち振る舞いがそう。もちろん、メッシ自身が世界最高の選手であることは言うまでもないけど、カタールW杯では、彼の存在がチームメイトに勇気を与え、アルゼンチンを奮い立たせていました。
チームメイトの能力まで引き上げる、強くてたくましいスペシャルな存在でした。小さい頃から憧れ続けたひとりのファンとして、今までと違うメッシの姿を見ることができてうれしかったです。
―カタールW杯で見せたメッシのような姿が理想の選手像なのでしょうか?
堂安 そうですね。チームに安心感を与える存在が俺の理想の選手像です。やっぱり大事なときにゴールを決められるかどうか。
「結局、あいつが決める」と誰もが思う選手こそ、チームのド中心。絶対的なエースとしてプレーで突き抜けられれば、自然と周りがついてくるはずです。
いろんなカタチのリーダーがいるけど、共通しているのは、「この人についてきたい」「この人の背中を見たら頑張れる」「この人の言動で雰囲気がガラッと変わる」と思われる存在であること。オン・ザ・ピッチだけでなく、オフ・ザ・ピッチも含めて、周りに影響を与えられるかどうか。
麻也くんも佑都くんもそういう素質を持っています。チームに対する影響力や、国民のみなさんに対する恩返しの気持ちの強さといった大事なものを、これまで誰よりも近くで見させてもらってきた。
麻也くんのような頼もしい言動、佑都くんのようなチームを鼓舞する盛り上げ方が俺にできるかはわからないし、マネをするつもりもないです。俺は俺のやり方で日本代表の絶対的な存在になります。
―「日本代表の背番号10を背負いたい」「日本代表のキャプテンをやりたい」とも発言されていました。
堂安 これまで俺は「背番号10を背負いたい。エースになりたい」と言い続けてきたけど、今はそれ以上の存在になりたいですね。「日本代表を背負えるのは俺しかいない」「俺の力が必要だ」と本気で思っていますから。
俺は気持ちが強いし、夢もたくさんあるからこそ、そういう選手が背負わなきゃいけない。「堂安、頼むよ」とみんなに言ってもらえる存在になりたいし、それはつまり、日本のエースであり、リーダーになるということ。
そのためなら、チームメイトに嫌われてもいいです。年齢は関係ない。下を向いている先輩がいれば俺が巻き込んでいくし、苦しいときに仲間を引っ張れる存在になりたい。サッカー選手としてだけではなく、ここからさらにひとりの人間として成長していきたいです。その覚悟はもうできています。
―今年3月には初書籍『俺しかいない』を発売。どのような思いが込められているのでしょうか?
堂安 堂安律という生き様と、これからも夢に向かって突き進み続ける俺の決意を伝えたくて、この本を出しました。そもそも成功者としてではなく、挑戦者として出す本なので、ここに成功体験は書かれていません。
正直、ファンやサポーターが見てくれているものと、自分が感じている現実にはギャップがあります。小さいころからエリートだったとか、なんの壁にもぶつからずにW杯で活躍したとか思われがちですけど、たくさん葛藤して悩み抜いてきたし、決して順風満帆の人生ではなかったです。
俺は生まれながらの天才なんかじゃないし、常に、誰かしら上の存在がいる環境に身を置いてきました。人一倍、悩むことが多いし、表には出さないけど、不安でビビることもある。心のなかではいつも弱い自分と葛藤しています。
でも、下を向いたことは、ただの一度もありません。どんな逆境でも、野心と反骨心を燃えたぎらせ、夢のために、自分を誰よりも信じて生きてきました。
堂安律というひとりの人間がどうやって人生を歩んできたのか――。
この本を読んでもらった人には、ありのままの俺を知ってもらいたいし、「堂安ってこんな人間なんだ」「そんなことを考えていたんだ」と感じてもらえたらうれしいです。すでに夢を見つけた人も、まだ夢を探している途中の人も、今を本気で生きている人ならば、きっと共感してもらえると信じています。
―最後に、日本代表を応援するサッカーファンに向けて、メッセージをお願いします。
堂安 日本国民全員が認める絶対的で圧倒的な日本代表の中心に、俺はなります。
次のW杯で新しい景色を見るためなら、どれだけつらくてもいいと思える覚悟ができましたから。日本代表に対する期待も、俺に対する期待も今まで以上に大きくなっているのは感じるけど、それが重圧にはなっていません。
国民のみなさんにはプレッシャーをかけ続けてほしいです。これまで以上に注目してもらいたいし、ダメなときには遠慮なく、批判してほしい。それも全部、自分の力にして、ここからさらにもうワンランク、ツーランク上の選手になってみせます。
日本代表がまだ見たことのない景色を見せたい。だから、俺についてきてほしいです。