田中碧ら8名を獲得したリーズ、指揮官は補強に満足も「昇格の大本命とは言えない」

田中碧
1
8月30日にリーズへの完全移籍加入が発表された日本代表MF田中碧が、早速新天地でのデビューを飾った。

現地時間31日、チャンピオンシップ(イングランド2部リーグ)第4節が行われ、リーズはホームにハル・シティを迎えた。チームが後半に2ゴールを奪ってリードを保つなか、田中は終盤の86分から途中出場。実際にピッチに立った時間はアディショナルタイムを含めてもおよそ10分間ほどだったが、試合後にはドミニカ共和国代表DFジュニオル・フィルポに促され、ゴール裏へ挨拶へ行ったチームの最前線に立つなど、早速馴染んでいる様子をうかがわせた。

ハル・シティ戦は今夏の移籍マーケットが閉まった後で初めての試合だったこともあり、試合後にはリーズを率いるダニエル・ファルケ監督が今夏のマーケットにおけるクラブの動きを総括。地元メディア『ヨークシャー・ポスト』が同監督のコメントを伝えた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f021688084024adfab72d8b7658beb1a07e419b8

田中碧は既にリーズで公式戦のピッチに立った



今夏の移籍市場において、リーズは田中の他にも、トッテナムからイスラエル代表FWマノル・ソロモンをレンタル移籍で迎え入れたほか、アルメリアからベルギー人FWラージー・ラマザニ、ザンクト・ガレンからスイス人DFアイザック・シュミットらを完全移籍で獲得。昨季はトッテナムからレンタル移籍加入しており、今夏に完全移籍へ切り替わったウェールズ代表DFジョー・ロドンらを含めると、実に8名を補強した。

一方で、昨季センターフォワードの主軸に君臨していたU-21フランス代表FWジョルジニオ・リュテール(現:ブライトン)、昨季のチャンピオンシップで最優秀若手選手賞に輝いたU-21イングランド代表MFアーチー・グレイ(現:トッテナム)、シーズン最優秀選手賞を受賞したオランダ人FWクリセンシオ・サマーフィル(現:ウェストハム)らの主力は軒並み今夏に“ステップアップ”。昨季の3位フィニッシュに貢献した面々の多くが退団していた。

このような状況を受けて、ファルケ監督は「今夏の移籍市場におけるタスクは、いくつかの穴が空いたポジションを埋めることだった。サイドバックに中盤、さらには攻撃的なオプション加わったことを考えると、クラブは仕事をしてくれたよ。『“10番”のような存在はどうした?』と言われてしまうかもしれないが、現在のマーケットにおいて、そんな選手を容易く連れてくることはできない」と発言。市場閉幕が迫るなか、田中ら4名の選手を迎え入れたが、彼らについては次のように評価をしている。

「最後に獲得した4名の選手は、いずれも20代前半から半ばの良い年齢だ。10代ではないが、キャリアにおいて少なくとも“上り坂”ではある。彼らはここに来ることを切望してくれたし、このようなクラブに関わることは大きな挑戦だと思うが、ポジティブに捉えてくれた。ポテンシャルもクオリティも、とても興味深い選手たちだ」

だが、ファルケ監督は「正直に言って、チームは完成系とは言えない」と主張。「ラマザニはイングランドのサッカーで1試合もプレーしたことがないし、シュミットとタナカはトッププレイヤーだとは思うが、まだこのレベルのリーグ経験は浅い。マノルも、困難なケガを乗り越えたばかりだ」と話すと、「昨シーズンのように、相手が深い位置で守っている状況下であろうと、相手を粉々にするようなマジックがあるわけではない。つまり、サマーフィルやリュテールのように、個々のクオリティで相手を粉砕できるわけではないんだ」と続け、「まだまだやるべきことが多い、多くの主力選手が去った後なのだから、当然と言っていいはずだ。多くの選手がリーグ屈指のクオリティを示した昨季と比較すると、昇格の大本命とは言えないだろう」と厳しい評価を下した。

現有戦力には一定の評価を下しながら、プレーオフの末に惜しくもプレミアリーグ復帰を逃した昨季の完成されたチームと比較すると、現状では発展途上であることを強調したファルケ監督。「我々は面白い選手を連れてきたが、このレベルで実績があり、成熟しているわけではない。エキサイティングなメンバーが揃ったけれども、まずは中長期的な視点で物事を見ている」と口にした。

このように現在のチーム状況を語った傍らで、ハル・シティを下したチームのパフォーマンスについては満足しているという。「我々にとっては大きな勝点3だ。非常にコントロールされたパフォーマンスを見せ、クリーンシートで試合を終えることができたのだから」と話しただけでなく、「雰囲気の面でも、順位表の面でも自信になる。新加入選手にとっても大事な要素だ。最初の数分間で成功を体験し、『エランド・ロード』の雰囲気を体感してくれたはずだ」と述べると、この試合がデビュー戦となった1人1人に言及。田中については「アオは本当にクールな選手。人間的な面でも、ピッチに立ってボールを持っている時でもね。彼はラスト10分間プレーしたが、ほとんど相手にボールを渡さなかったじゃないか」と語った。

昨季と比較して多くの面々が入れ替わり、新たな時代を迎えているリーズ。次なる相手はプレミアリーグからの降格組のバーンリーで、試合は日本時間で14日の20時30分キックオフ予定だ。
タイトルとURLをコピーしました