
ほぼ毎週のように2試合ずつ戦い、さらにどの試合でも序盤から高いインテンシティー(プレー強度)が求められ、運動量やダッシュの数も極めて多い。時には疲れが見える試合だってある。「さすがに次の試合では数人休ませるのではないか?」とファンや地元メディアが予想しても、ふたを開けたらスタメンそのままという試合は少なくはない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3302375301817ead66a0358d5acf603150bb9c22
信頼を感じている堂安「監督が求めてくれれば僕も返す気持ちでいる」

そうではない。選手に怪我をするまで無理をしろと言っているわけではない。シュトライヒは選手の声を正しく聞こうとしている。こんな話をしていたことがあった。
「(出場メンバーに関しては)コーチ陣みんなで決めている。我々は選手の様子を正しく見ようと常にチェックをしているし、疲れているなと思ったら話をする。選手を完全に信頼している。そして、『選手が正直に自分の気持ちを話すことができるのか』『エゴからではなくて、チームへの思いや強い意志から出てくるものかどうか』を見定めている。選手にとっては難しい話だろう。だが私は選手を信頼して話を聞くようにしている」(シュトライヒ監督)
選手のフィジカルデータは丁寧に取っている。休養プログラムにも気を配る。怪我の危険性がある選手をピッチに送ったりはしない。そのうえで選手自身がどんな感触を持っているのかを大事にしているという。堂安もそんな監督からの信頼を実感しながらピッチに立っている。
「監督からの信頼は感じていますし、監督が求めるものは自分も分かっているので。コミュニケーションを取っていますし、僕も信頼しています。監督が求めてくれれば僕も返す気持ちでいるので。いい関係は築けているかなと思います」(堂安)
多くの試合に出ていたら、感触的に大丈夫と思っていても、いざ試合となったら「あれ? 今日は身体が重いな」ということだってある。それはそうだ。今季すでに公式戦20試合に出場しているのだ。
10月27日のELグループステージ第5節オリンピアコス戦(1-1)がそうだった。プレーが重く、本来だったらゴールへ向けてドリブルを開始するような局面でもクロスを入れたり、仲間へパスを預けたりとらしくないプレーが続いていた。らしくないと言えばらしくない。本人も認めていた。
「最初の10分ぐらいで自分がどうなのか感覚が分かる。今日は最初の感覚で、身体が重いなとか、疲れているなというのがあった。なんとか賢くというか、プレーしなくちゃいけないなと思いながらも、正直あまり打開できなかったので、課題が出た試合だったと思います」(堂安)
いつもは堂安が右サイドでボールを受けて攻撃の起点を作るシーンがよく見られるが、この日はいい形が生まれてこない。攻撃も左サイドに偏りがちになってしまう。結局この試合では後半18分に途中交代となったが、シュトライヒ監督はベンチに戻ってくる堂安の肩を抱き、熱い口調で言葉をかけているのが印象的だった。
「特別な話はしてないですけど、ただハーフタイムに監督から『疲れが見えてるのは分かっていた』っていうのは伝えられていたので、そういったような話ですね。特にポジティブな声をかけてもらいました」
疲れがあるのは分かっていたが起用する。後半15分過ぎまで出場させるのは信頼と期待の表れ。そしてその信頼と期待とは、今までの練習や試合でのパフォーマンスがあるからこそだ。
たとえ疲れていてもやるべきことはさぼらずにやり続ける。守備で正しいポジションを取り、連続でプレスをかけ、開いたスペースへ走り込む。それを効果的に行えているからこそ、スタメンに名を連ねている。「大丈夫」というのは言葉で返すのではなく、プレーで示すことがやはり大切なのだろう。それが選手として果たすべき責任だ。
オリンピアコス戦から中2日で迎えたブンデスリーガ12節のシャルケ戦(2-0)でもスタメン出場した堂安は開始2分にシュートを放つなど、精力的な動きで攻撃に関与し続けた。先制点の場面では堂安らが右サイドで起点を作り、左サイドで待つヴィンチェンツォ・グリフォへパスが渡ったところから生まれた。2点目でも堂安が左サイドへ流れてチョン・ウヨンをサポートしたところからPKへとつながった。
さまざまな経験を積み重ねながら成長し続ける堂安。ブンデスリーガ中断までにゴール・アシストも重ねて、気持ち良くW杯へ向かいたいところだ。
