
「日本代表に対する思いは間違いなく増えた。この4年間は、それこそ自分が代表を引っ張っていく存在になりたい」。いつもはクールでマイペースな鎌田大地が珍しく壮語した。クラブ最優先だった男のキャリアプランに「W杯」が初めて書き記された瞬間だった。
ほんの数カ月前まではW杯に執着していなかった。ビッグクラブ移籍や欧州チャンピオンズリーグ優勝という現実の目標を隠さず、「日本代表について何も考える必要はない。選ばれた時に頑張るだけ」と強い興味や関心はなく、なかば達観したスタンスだった。
それが、どうだ。わずか3週間あまりで、頑固な鎌田の考え方は大げさではなく、180度転換した。そこには、W杯に取りつかれた2人の男の存在があった。
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日本代表ってすごいところだと思う。ここにいられるのは普通じゃない

「日本代表ってすごいところだと思う。ここにいられるのは普通じゃない。W杯に懸ける思い、姿を見て、自分の感覚は変わった」
刺激? 衝動? いや、違う。W杯に人生を懸ける意味、日の丸を背負う誇り、意義を知った。自らを犠牲にしてでも、そこに身を投じる価値がある。心の底から、そう思えたのだ。
そして、もう1人。36歳の長友佑都は毎日のように鎌田を気にかけ、声をかけてくれた。表情の裏側をのぞき込まれ、時に煩わしいほどの明るさとエネルギーを分け与えてくれた。
鎌田は「佑都くんとは言い合ったり、けんかしたりもした。(気持ちを)さらけ出して、彼自身もそれを受け止めてくれた。彼と関われたのはすごくうれしかった」と感謝の言葉を殊勝に紡ぎつつ、「毎日はしんどい。好きだけど、ずっと一緒はきつい」と冗談交じりに笑った。
初めてのW杯は不完全燃焼だった。課題も反省も、すべてが収穫。それ以上に、W杯でしか得られない大切な手土産を持ち帰ることができた。サッカー観、人生観の大転換。「この4年間は本当に、代表のためにもやりたい」。2026年北米大会。日本代表の中心に、鎌田がいるはずだ。