「ニッポンのファンになった」ドイツが敗退したのに…カタールに残って森保ジャパンを取材したドイツ人記者の告白

ワールドカップ

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日本代表に敗れ、まさかの2大会連続のグループリーグ敗退となったドイツ代表。自国の敗退後も、現地カタールに残り、森保ジャパンを取材したドイツ人記者がいた。そのフィリップ・セルドーフ記者(南ドイツ新聞)がNumber Webに本音で綴る。

ドイツ人の筆者は自国の代表が敗退した後もカタールに残り、日本とクロアチアによる決勝トーナメント1回戦をアル・ジャヌーブ・スタジアムで観戦した。ドイツから鮮やかな勝利を収めた日本に興味を持ったからだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/38313ea9fdab1cf3962bff271408df309dfef9a2

三笘、伊東、権田の3選手には驚かされた

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この日も日本は格上と呼べる相手──ルカ・モドリッチを擁する前回大会の準優勝国だ──に、延長後半の終了の笛が鳴るまで懸命に戦っていた。ポゼッション率やシュート数ではやや劣ったが、良いプレーは随所に見られ、球際の勝負では互角にファイトし、不要なリスクは冒さなかった。ただしPK戦に入る段階で、日本の選手たちはすでに劣勢になることを感じていたかもしれない。なぜならクロアチアは大舞台におけるPK戦、つまり極限の神経勝負の経験を豊富に持っていたからだ。

クロアチアはストレスへの強い耐性を備えており、いかなる状況でも落ち着きを失わない。そして成功を渇望している。4年半前のロシア大会でも2度のPK戦を勝ち上がっている彼らは、モドリッチ、イバン・ペリシッチ、マテオ・コバチッチ、アンドレイ・クラマリッチといった主力をベンチに下げていたが、それ以外の選手が堂々たるキックでネットを揺らした。逆に日本は最初のキッカーの南野拓実、そして三笘薫と吉田麻也も、重圧を感じていたようなシュートで失敗してしまった。

日本代表とその選手たちが目覚ましい成長を遂げているのは間違いない。技術、戦術、身体の面では、トップレベルにかなり近づいてきている。しかし精神面や勝負強さでは、クロアチアのような一線級と比べると劣ってしまう──少なくとも、現段階では。

それはより多くの選手たちが欧州のトップレベルのクラブに所属し、日常的にメンタルタフネスを試されるような環境に身を置くことで改善されていくはずだ。また代表チームや日本サッカー協会は、欧州の強豪国のようにPKとPK戦の研究と対策を講じていくべきだろう。

それから経験もまだまだ不足している。日本代表の面々は今大会で、磨き上げられたスキルや特別なタレントを世界に披露したが、重要な瞬間に冷静さを失うシーンも散見された。特に顕著だったのは、ゴール前での落ち着きの欠如だ。加えて、信頼できるフィニッシャーの台頭も待たれる。一線級の本格派ストライカーは世界的にも少ないが、ドイツと同様に日本も点取り屋の育成という難しい課題に取り組んでいかなければならない。

とはいえ、このW杯で今の日本代表が賞賛されたのも事実だ。たとえば、私たちの国の代表を統率したハンジ・フリック監督は「日本のフットボールのファンだ」と公言している。日本人選手の物事に取り組む姿勢を称え、遠藤航は「ブンデスリーガで最高の守備的MFのひとり」と断言したほどだ。守備力と集中力、展開力に秀でる遠藤なら、フリック監督のドイツ代表でもポジションを掴んだかもしれない。

ドイツは欧州でもっとも早く日本のサッカーの可能性を感じ、認めてきた国だ。1960年代にはデットマール・クラマーが日本代表を指導し、1970~80年代には奥寺康彦がブンデスリーガでプレーし、リーグタイトルを手にしている。2000年代以降は香川真司や内田篤人、長谷部誠が目覚ましい活躍で地元のファンからも熱烈に愛され、最近では鎌田大地がフランクフルトにヨーロッパリーグのタイトルを持ち帰ってサポーターを喜ばせた。吉田麻也や板倉滉、堂安律、伊藤洋輝も、今季のブンデスリーガで存在感を放っている。

だから我々は彼らのことはよく知っていたわけだが、三笘薫や伊東純也、権田修一のパフォーマンスには驚かされた。三笘のドリブルや伊東のスピードはどんな相手にも通用するはずだし、権田の鬼気迫るセーブは今大会の日本が躍進できた大きな理由のひとつでもある。個人的には、三笘と伊東の両翼を試合の最初から観たかった気もするが、森保一監督には何か狙いがあったのだろう。

1月には多くの日本代表選手がブンデスリーガに戻ってくる。彼らはそこで、地元ファンから熱く歓迎されるに違いない。日本代表の選手たちは、世界の桧舞台でW杯優勝経験国のドイツとスペインを下したのだ。その得難い経験を生かして成長し、高めた実力をそれぞれのクラブに還元してくれるものと期待されている。日本代表のサポーターも、同じ気持ちだろう。

全般的に、日本代表は正しい方向に進んでいると思う。きっと4年後には彼らのポテンシャルがさらに上がり、また世界を驚かせてくれることを筆者も楽しみにしている。

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2026年W杯の開催地は米国のロサンゼルス、ニューヨーク、ダラスなど11都市、カナダのモントリオールなど3都市、メキシコ・メキシコシティなど3都市。北米大陸で開催する。

コメント

  1. 名無し より:

    北米3都市って…
    移動距離ハンパなさそう

  2. 名無し より:

    日本がタイにまさかの逆転負けして、チャナやティーラがJに凱旋して来ると思ったら結構評価上がりそうだな
    「ウチのクラブもタイから取れよ」とか言い出すサポも居そうだ

  3. 名無し より:

    >>1
    次回は、カナダ、アメリカ、メキシコで開催なんで無茶苦茶移動距離があるしなぁ

  4. 名無し より:

    スペインでの評価も聞きたいのう

  5. 名無し より:

    アメリカラウンド、カナダラウンド、メキシコラウンド、に別れるからアメリカとカナダの移動はたいして苦痛ではない。例えば西海岸と東海岸とに分けて集中開催するから移動距離はたいしたことない。

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