「40歳まで欧州挑戦を続けたい」強い覚悟で戦い続ける37歳・岡崎慎司。“人と違う人生”を追い求めるワケ

岡崎慎司

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2022-23シーズンはベルギー1部・プレーオフ参戦を目ざしながら12位に終わり、4月23日にレギュラーシーズンが終了したシント=トロイデン。ベルント・ホラーバッハ監督の退任が決定し、来季からは元ヴィッセル神戸のトルステン・フィンク監督体制で新たなスタートを切ることが決まっている。

そのシント=トロイデンが5月21日、福島のJヴィレッジで小学生向けのサッカー教室を実施。シュミット・ダニエルを除く日本人選手4人が参加し、4月に37歳となったベテラン・岡崎慎司も子どもたちと一緒にボールを蹴った。

「一見、ダンゴ状態でみんな何も考えてないように見えるけど、『ボールを追いかける』っていう基本的なことができている。大人になると考えが先になって走ることができないというのはよくある。子供たちが一番大事なことを思い出させてくれますね」と岡崎は中学時代、宝塚ジュニアFCでダイビングヘッドの練習に明け暮れていた頃の純粋な気持ちを取り戻し、新たな活力を得た様子だった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ea278d8236c49b8649182e224acbaf7fccef46e6

ベルギーのシント=トロイデンでプレーする岡崎。今季はリーグ戦30試合に出場し、2ゴールを挙げた

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そんな岡崎だが、昨季は練習生を経て、シーズン開幕後の8月19日に正式加入。翌20日のオーステンデ戦でスタメンに抜擢され、新天地デビューを飾り、そこから全30試合先発という凄まじい仕事ぶりを披露した。

2022年カタール・ワールドカップ(W杯)を本気で狙いにいった前半戦はFW起用がメインだったが、後半戦はインサイドハーフに主戦場を移し、ボックス・トゥ・ボックスのダイナミックな走りを見せつけたのだ。

日本代表50ゴールという偉大な記録を持つ男にしてみれば、シーズン2得点というのは物足りない数字だろうが、36~37歳にかけての1年間をここまでフル稼働できる選手はそうそういない。改めて岡崎慎司の凄さを再認識させたと言っていい。

ホラーバッハ監督も「岡崎は長谷部(誠=フランクフルト)のようになれる。引退後はアシスタントコーチを努めてほしい」と発言したというから、どれだけ絶大な信頼を勝ち得たかが分かるだろう。

「アシスタントコーチにはたぶんならないと思いますけど」と岡崎は冗談交じりに笑ったが、「それだけ信頼してもらえたのが全てだった」と感謝をしみじみと口にした。「ただ、自分自身は最後まで満足することはなかったし、シーズン最後のほうは足にきてしまったのもある。もっとしっかり身体を作って来季に向けて準備したい」と彼は決して歩みを止めるつもりは一切ないという。

来季に関しては、立石敬之CEOとフィンク監督が誰を残すかを議論している段階で、岡崎が残る可能性がゼロではない様子。ただ、シント=トロイデンはもともと若く、可能性のある選手を育てて売るのをベースとするクラブ。となれば、37歳のベテランとの契約延長は慎重にならざるを得ない。

構想外という判断になれば、岡崎は再び新天地を模索しなければならなくなる。「30歳を越えた途端にマーケットが厳しくなる」と言われる欧州で、37歳のプレーヤーに新たなオファーを出してくれるところがあるのかどうかは未知数だ。

それでも、本人は「40歳までは欧州挑戦を続けたい」と明言したのだ。

「家族も欧州が長いし、生活面でも欧州で過ごすことが普通になっている。そういうことも含めて欧州でサッカーをやり続けて、40(歳)という節目までやるというのが自分にはいいのかなと。それくらい長く続ければ、『欧州でやりきった』と思えるのかなと。

ここまでやってきて、まだ自分の中では燃えるものがある。それがいつか終わることを考えると何かターゲットを決めたいなと。それが40かなっていうのもありますね」

56歳のカズ(三浦知良=オリベイレンセ)、40歳の川島永嗣(ストラスブール)、39歳の長谷部と、岡崎より年長の欧州組は何人かいるが、次々と新しい選手が頭角を現すアタッカーが生き残っていくのは本当に難しい。

それを承知のうえで、岡崎はカテゴリーを落としてでも欧州挑戦を続ける構え。すでにスペインでも2部リーグは経験しているが、欧州5大リーグ以外の2部に行く決断を下すのも大いに考えられそうだ。

かつて「欧州から日本に帰る時は代表を諦める時」「現役選手である以上、代表は常に目ざし続ける存在」とも発言していた男だけに、「欧州を離れる時はプレーヤーのキャリアに終止符を打つ時」というくらいの強い覚悟があるのかもしれない。

「もちろん需要がなくなったらしょうがないし、受け入れるしかないんですけど、自分としてはそれを目ざしたい。いろんな選手が日本に帰るのを見てきましたけど、僕は人と違う人生が好きなんで。まあ、そんな辺境の地まで行ってやろうとは思わないですけど、自分がどこまで人と違うところでやれるかにトライしたいですね」と岡崎慎司らしい生き方にこだわっていくつもりだ。

だからといって、Jリーグ復帰を選んだ仲間たちへのリスペクトは抱き続けている。

今年2月に古巣・セレッソ大阪に戻った香川真司に対しても「純粋にサッカーを楽しんでほしい」とエールを送る。「真司は真司でたぶん、僕がどこまで(欧州で)やれるかっていうのを期待してると思う。また会った時にお互いが刺激し合える関係であればいいですよね」と香川の後押しも感じつつ、岡崎は来季に向かっていくという。

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年齢を重ねても泥臭く貪欲にサッカーを追求し続ける37歳のベテランは、果たして数か月後、どこでピッチに立っているのか。最適な環境に赴き、アグレッシブなパフォーマンスを見せ続けてくれるのを、多くの人々が心待ちにしているはずだ。

コメント

  1. 名無し より:

    本当にかっこいい男

  2. 名無し より:

    Jリーグに戻らないなら、リーグの発展には寄与しないって事だから香川よりはかっこよさが劣るかな。
    もう点も取れなくなったのに。

  3. 名無し より:

    苦境にあるエスパルスをコーチとかで助けてあげられないかね。

  4. 名無し より:

    正直ベルギーで活躍できないレベルならJ1戻っても厳しいね
    世界回って色々見て経験してきてほしい

  5. 名無し より:

    欧州で居場所なくなってもJリーグに帰らないでほしいね

  6. 名無し より:

    点取れなくなったFWがかっこいいとは思わないが
    そこまでこだわるなら向こうで指導者になってくれ

  7. 名無し より:

    引退後でいいから日本サッカーにこれまで肌で感じた様々なことを落とし込んでほしい

  8. 名無し より:

    今日本に必要なのは欧州で戦った経験がある監督だろ
    個人の希望はあるだろうがちがう夢も模索して欲しい

  9. 名無し より:

    香川を引き合いにだした人居るから触れるけど
    在籍したクラブとジュニアチームを提携させたりトライアウトしたり貢献凄いぞ?
    Jに戻って経験を還元なんて引退後でもいい メンタリティこそが岡崎たる所以だし

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