W杯でも大活躍、堂安律の獲得を振り返るフライブルク「気持ちに訴えた」 | footcalcio

W杯でも大活躍、堂安律の獲得を振り返るフライブルク「気持ちに訴えた」

堂安律

1

これまでSCフライブルクのクレメンス・ハルテンバッハSDは、隠れた逸材を発見しそれを主力選手へと送り出してきた人物なのだが、この夏に獲得し今季の飛躍のシンボルとなっているマティアス・ギンター、ミヒャエル・グレゴリッチュ、ダニエル・コフィ・キェレー、そして堂安律といった4人の代表選手たちは、そのうち今回3人がワールドカップへと飛び立つなど、決して”隠れた”選手として表現できる人材ではない。確かにニコ・シュロッターベックの移籍金とヨーロッパリーグ出場権が後押ししたとはいえ、それでもいかにしてこれらの選手を獲得することができたのか?kickerとのインタビューにて、「この夏の移籍期間では、我々が抱く考えを選手たちの気持ちへと訴えた」と明かしている。

https://news.livedoor.com/article/detail/23323877/

1vs1におけるクオリティは、フライブルクのオフェンスレベルを更に1ランク高めるもの

2

なるほど、気持ちへと訴える・・・。ただ一体それは、どのようなアプローチを意味するのなのだろうか?「たとえば堂安律の場合、すでに彼がビーレフェルトでプレーしていた頃から、話し合いの席についていたことが功を奏していたと思うね」と語った同SDだが、ただそこでの活躍を見逃さなかったPSVにレンタルから復帰、そこで堂安はさらに欧州の舞台でも活躍をみせると、再獲得を目指した1年後の夏には更にその注目は高まりをみせることになった。そこでSCフライブルク首脳陣がとった策が「気持ちに訴える」ため、ある動きにでるということ。

堂安の説得にあたるべく彼らが、オランダ・アイントホーフェンへと向かう際、そこにはハルテンバッハSDとヨッヘン・ザイアー競技部門取締役と共に、なんとクリスチャン・シュトライヒ監督の姿があったのだ。実はこの時はまだチャンピオンズリーグ出場権をかけたブンデスリーガ最終節の前のことであり、本来ならば決して「試合前に動くようなタイプの指揮官では決して無い」シュトライヒ氏だけに驚くべき判断である。「ただそれででも我々はこの時、とにかく共にいくしかないと思ったんだ」その言葉からも、いかにフライブルクが堂安獲得を重視していたかが感じられることだろう。

フライブルクで20年に渡りともに仕事をしてきた三人は、ハルテンバッハ氏が運転する車で、1時間半かけてアイントホーフェンへ。その道中では「音楽を聴きながら、少し話をしていたね。ただ特に誰が何を話すかとか、そういう作戦を事前に練っていたということではないよ」とハルテンバッハSD。「そういったことは会話の中で心から滲み出てくるもの。そういった監督であるのは皆さんもご存知のこととは思うが」と言葉を続けている。

アイントホーフェンでは堂安は代理人、そして2人の信頼を置く人物と共に交渉の席についた。「非常に良い話し合いだった。そこでは私たちはサッカー以外のことについても話をしていたよ。それに律は私たちが昨年にも非常に関心をもっていたことを知っていたしね」とハルテンバッハSD。「それから帰途についたのだが、我々は良い感覚を得ることができていたよ。ただ彼にどれほど我々が欲しているのか、それを伝えきれたかという疑問はあったがね」

つまりはフライブルク首脳陣は、堂安に対して「良いことばかりを並び立てるわけではない。むしろフライブルクの天候が雨である時、その時のことをしっかりと伝えていく。もしも物事がうまくいかなかった場合、どのようなことが起こりうるのか。想定できることを可能な限り挙げておけるようにするんだよ」と明かす。ただ最終的にその言葉を受けた堂安からは、入団の際にフライブルクというクラブに対する高評価が決め手であることが明かされ、そして加入からこの半年、首脳陣が語った”雨”は今のところはまだ訪れずにすんでいる。

数字だけを見れば22試合で4得点4アシストと伸び代はある、だがそれでも172cmのスピードスターは右ウィングにおいて欠かすことのできない存在で、フライブルクがみせる危険な攻撃のほぼ全てに関与。その1vs1におけるクオリティは、フライブルクのオフェンスレベルを更に1ランク高めるものだ。更に現在参加中のワールドカップでは、ドイツとスペインを相手に貴重な2得点を途中出場からマーク。大活躍を演じるなど、いまやフライブルクからみれば800万ユーロという移籍金は激安価格にもみえる。敢えて3人で車に乗り込み「気持ちに訴えた」、その判断の正しさの1つの証明であるといえるだろう。

3

ブンデスリーガは1月21日から順次再開。フライブルクは21日にヴォルフスブルクと対戦する。
タイトルとURLをコピーしました