https://news.yahoo.co.jp/articles/62e3ae9ffce4965919f54c616dcb20c02837efb6
「僕たちのやることは、彼の言うことをピッチで表現することだけ。彼を信じています。すごい人なんです」
「ミケルのフットボールをこれまで以上に理解しているんです」
「選手層が厚くなり、新しい選手も増えたけれど、一番の要因は、僕たちがミケルのフットボールを昨シーズン以上に理解していることです」
ミケル・アルテタの下、ほんの12カ月でアーセナルは著しい変化を遂げた。このことを考えれば、この日本代表の意見に反論するのは難しいだろう。今シーズンのプレミアリーグでは、半分を消化した時点でガナーズは首位に立っている。
アーセナルはリーグ前半戦の19試合で勝ち点50を積み上げた。プレミアリーグでの記録としてはクラブ史上最多だ。そして、ここまでで喫した敗戦はわずか「1」。最後の敗戦は昨年9月のマンチェスター・ユナイテッド戦まで遡る。先週日曜日(1月22日)にはエミレーツ・スタジアムに赴き、エリック・テン・ハーグのチームに3-2で勝利を収め、リベンジを果たした。
この試合では、アルテタが構築した新たなアーセナルのすべてを見ることができた。活気にあふれ、決意に満ち、勝利への揺るぎない意思があった。ピッチ上でのクオリティも高かった。
「昨シーズンも理解はしていたけれど、表現することができなかったんです」
「けれど、今シーズンは彼が僕たちに求めるプレーを理解した上で、実行することができている。これが大きな違いなんです」
アルテタが2019年12月にアーセナルにやって来た時、引き継いだクラブは何年もの分裂と内乱で引き裂かれていた。アルテタは再び全員をまとめることを決意した。
選手時代にキャプテンとしてプレーしたクラブに、再びサッカー界最大のトロフィーを競わせようと決めたのだ。
それには時間が必要で、難しい決断を下さなければいけないことも理解していた。だがアルテタは、自分が全幅の信頼を置くことができるチームを作るためなら、どんなことでもするということを示してきた。
そして今、アルテタはそのようなチームを作り上げた。冨安はそんなアルテタの指揮下で飛躍を遂げる選手だ。2022年夏にボローニャから移籍して以降、常に出場できているわけではないが、その評価は変わらない。
「ミケルはフットボールのことが分かっている。フットボールの仕組みや、すべてを知っているんです」ガナーズの右サイドバックはこう語る。
「僕たちのやることは、彼の言うことをピッチで表現することだけ。彼を信じています。すごい人なんです」
「一緒にプレーした監督の中で最高の監督ですね」
冨安は、日曜日に行われたマンチェスター・ユナイテッドとの大一番で後半から出場した。
今シーズンは、途中出場で試合に関わることに慣れなければならない立場になっている。ベン・ホワイトの好調によりプレミアリーグでの先発出場はわずか4試合にとどまっている。
それでも、冨安は全コンペティション合計22試合に出場しており、1人目の交代選手として登場することも多い。アルテタが冨安にまだ信頼を置いていることは明らかだ。
「現実は受け入れないといけない」と冨安。「ベン・ホワイトはとてもよくやっている。素晴らしいと思う」
「もちろん僕も先発でプレーしたい。できることは、自分の価値をピッチで証明して、自分のできることを見せることだけです」
「ただチームの助けになりたいんです。自分が先発するかどうかは関係ない。ピッチに立ったら全てを出しますよ」
今シーズンのアーセナルの華々しい活躍は、こうした姿勢から来ているのだろう。
昨シーズン終了時の様子を考えれば、アルテタのチームがここまでのリーグ戦でタイトルに近いところにいて、しかもトップに立っていると予想できた人はほとんどいないだろう。だが、団結力と行動原理がチームに浸透したことで、あらゆる試練を乗り越えるマシンを作り上げることができた。
リヴァプールもユナイテッドもアーセナルに敗れた。トッテナムは2度も完敗し、チェルシーはスタンフォード・ブリッジで圧倒された。
たった19試合で50ポイントを稼いだことで、サポーターは19年ぶりのリーグタイトルを夢見ている。
だが、選手たち自身はその夢を見ることができているのだろうか?
「もちろんですよ」と冨安。「プレミアリーグ優勝はどんな選手にとっても大きな夢ですから」
「でも、まだ僕たちは19試合しか戦っていない。それを口に出すのはまだ早いでしょう。ミケルが言うように、1試合1試合プレーしていかないと」
「前に進まなければいけないし、これからも進んでいかないといけない。集中しているんです」
練習こそが今シーズン成功の重要な要因だと、アーセナルの選手たちは絶えず指摘している。
アルテタが毎日要求する強度は「交渉の余地がない」ほどであるという。これは監督がマンチェスター・シティからエミレーツ・スタジアムに戻ってきた最初の日から言い続けてきたことだ。
本番さながらに練習し、基準が下がってきたらアルテタはすぐにアクションを取る。
そのため、ロンドン・コルニーでの練習はとても厳しい要求がされている。試合で起こりうるあらゆる事態に対応できるよう、選手たちが限界まで試されるようにデザインされている。
では、冨安が練習で顔を合わせている選手の中で、土曜日の午後3時に対峙しなくてよかったと思う選手は誰だろうか?
「ガブリエウ・マルティネッリですね」と笑う。「彼は止まらないんです」
「彼にはスピードや攻撃力があります。まだ若いけれど、ボールを持つと違いを作ろうとする。何かをしたいと思っているんです」
最後に今回アシックスとアドバイザリー契約を結んだ理由について聞いた。
「いつもは新しいブーツを試すと、かかとに痛みを感じることもあったんです。でも、アシックスのスパイクだと違和感がありませんでした」
「軽くて、履き心地がいい。私にとって、履き心地は最も重要なことです。だから、アシックスを選んだんです」