
https://news.yahoo.co.jp/articles/d02e017e901cf20d1c6151c7dfdd595a7d8fc343
昨季とは見違える強さを見せる神戸、高質の縦に早い攻撃とハイプレス

縦に速い攻撃というものの、ただ敵陣に早く蹴り込めばいいというものではない。縦に速くは、サイドへ深くとほぼ同義だ。
センターバック(CB)やアンカーからサイド深くにロングパス。そこで崩せなければサポートに付いたサイドバック(SB)のボールを戻し、再びCB経由で逆へサイドチェンジ。いわゆるU字型のボールの動かし方が基本になる。
2019-20シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)で優勝した時のバイエルン・ミュンヘンがこの「外回り」の組み立ての典型だった。センターサークルからペナルティーエリアまでの中央部分はほぼ使わない。そこはむしろプレッシングでボールを奪うための場所で、攻撃は外回りがメインだった。縦に速くといっても、中央にロングパスを打ち込んでもまず通らない。だからサイド深くの侵入を狙う。アンカーのチアゴ・アルカンタラの正確なロングパスが印象的だった。
神戸の強みはディフェンスラインの左側に左利きを揃えていること。CB左に本多勇喜、左SBは両足利きの初瀬亮。この2人のロングキックが縦に速い攻撃、つまりサイドへ深い攻撃を可能にしている。
例えば、左SBから左ウイングへのロングパスは縦に速いけれども、このコースはあまり通らないし、通ってもウイングはすでにマークされているので突破するのが難しい。ウイングにスペースを与えるなら対角のロングパスが有効だ。守備側はボールサイドに寄っているので、受け手がウイングでもSBでも、対角のロングパスはより広いスペースを受け手に提供できる。
ただ、それにはロングパスの精度とスピードが必須。右から左へ蹴る選手はいても、左から右は少ない。単純に左利きが少ないからだ。右足に持ち替えれば蹴れるが、それでは貴重な時間をロスしてしまい受け手のスペースを減らすことになる。左利きのロングキッカーを2人揃えた神戸は、サイドへの深い展開をスムーズにできていて、縦に速い攻め込みを効率良く行えているのだ。
