三笘薫25歳に聞いた「ドリブル突破の回数が減った?」プレミア勢が本気で“ミトマ対策”…それでも6ゴール目、三笘が明かす

三笘薫

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プレミアリーグで相手チームの“ミトマ対策”が進むなか、三笘薫(25歳)がまたゴールを決めた。今季6点目、「日本人シーズン最多得点記録」に並んだ。試合後の三笘本人に、ロンドン在住の筆者が直撃取材した。

ブライトンの本拠地アメックス・スタジアムに、またしても「ミトマ」のチャントが鳴り響いた。

3月4日に行われた国内リーグのブライトン対ウエストハム。12戦連続の公式戦先発となった三笘薫は、前半18分に先制点につながるPKを獲得し、後半24分にチームの3点目をマークした。

チームは4-0で圧勝し、三笘も場内発表のMOMに選ばれた。試合終盤の交代時、大活躍の三笘はホームのサポーターからスタンディングオベーションで称えられた。

また25歳のアタッカーは国内リーグの得点数を6にのばし、レスター在籍時の岡崎慎司、マンチェスター・ユナイテッド在籍時の香川真司の持つ、「プレミア日本人シーズン最多得点記録」に並んだ。日本サッカー界にとっても記念すべき1日となった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/88536b43de54634582978d8b44952e86cf55d27e

「ギリギリでした?」「いや、結構簡単でした」

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チームが3試合ぶりに国内リーグで勝利したウエストハム戦を、三笘は次のように振り返った。

「毎試合、自信はありますが、前の2試合は引き分けと負けで、なかなか結果が出なかった。今回の相手は下位のチームですし、ここでしっかり勝ち点を取らないといけないと思っていました。(前節フラム戦で審判に暴言を吐いたとして、ベンチ入り禁止処分となった)監督もいないなか、良いクオリティを出すことができたと思います。

自分としてはコンディションがそこまで良くなかったですけど、チームとしてうまくいった。後ろがうまくビルドアップしてくれたので、自分は前(=攻撃)で力を使うことができた。1点取ってからは、自分たちのサッカーがうまくハマったと思います」

三笘の得点場面では、チームの狙いが実を結んだ。右サイドからパスカル・グロスによる速い弾道のクロスボールが入ると、三笘はファーサイドで滑り込んで鮮やかに決めた。日本代表MFはクロスが入ってくるのが事前に分かっていたとし、狙い通りのゴールだったと明かした。

「(記者:ゴールの場面は練習通りか、自分の感覚で飛び込んだのか? ) パスカル(グロス)があそこで中に折り返してくれるのは分かっていました。特にあそこは、監督から『入っていけ』と言われているところなのでよかった。(記者:ギリギリで追いついたか? )いや、結構簡単でした。余裕はありました。最近は、もうあそこしか狙っていないので。準備しておいて良かったなという感じです」

話は、前半18分のPK獲得場面にも及んだ。右MFのソリー・マーチから逆サイドに展開するパスが入ると、三笘はファーストタッチで中へ切れ込んだ。本人によれば「タッチが少しズレた」というが、このファーストタッチでマーカーのベン・ジョンソンを抜き、2タッチ目でもう一歩、中に進んでペナルティエリア内に侵入。相手ウインガーのジャロッド・ボーウェンに背後から倒され、PKを獲得した。三笘は静かに振り返る。

「ファーストタッチはちょっとズレてましたけど、セカンドタッチで前に出たので。(相手の)前に入ってしまえば、取れるかなってところがありました。(シュートまで)行き切れればよかったですけど、相手の前に入った時点で勝ちかなって感じですね」

今回の質疑応答で最も印象に残ったのは、「どういうプレーが効果的なのか、考えながらプレーしている」「ドリブルに固執しているわけでは全然ない」という本人の言葉だった。

最近の試合から強く感じるのは、三笘がメリハリをつけてプレーしていること。得意とするドリブル突破の回数が減り、代わりに味方との連係など「周囲を生かすプレー」が増えた。4日前に行われたFA杯5回戦のストーク戦もそうだったが、左サイドから中央にポジションを移して前線にスルーパスを出したり、あるいは逆サイドにロングパスを出したりと、連係から崩すシーンが目立つようになった。

結果として、三笘の代名詞であるドリブル突破の回数が減っているが、この点を本人はどう捉えているのだろうか。

記者が「ウエストハム戦の前半はドリブルで仕掛ける場面が少なかったが、後半はそういう意識が上がったように見えた。今日のゲームプランとして自分の中で決めていたのか」と聞くと、三笘はこう説明した。

「決めてはないですけど、チームが前半からボールを握っていたので、相手が疲弊するのは分かっていた。先にポゼッションを優先して、試合を支配し、後半の相手が疲れた時に自分のドリブルを少しずつ出せればいいと思っていました。ドリブルを別に出さなくても、試合の中で変化はつけられる。どういうプレーが効果的なのかを試合の中で考えながらやっているので。ドリブルに固執しているわけでは全然ないですね。

サイドに開いて時間を作るところだったり、ポゼッションするところだったり、仕掛けるところもそうですけど、こうしたプレーの比率は相手によっても変わってくるので。今日はボールを回しながら、そっちの方を優先すべきと思っていました。それはピッチの中にいればわかることなので」

ブライトンでのシーズン序盤や、W杯終了後のブレイク中は、とにかく三笘のドリブル突破が光った。確かなスキルと爆発的なスピードでマーカーを翻弄し、左サイドを突破してチャンスを生み出した。

ところが相手チームの三笘対策が進み、ドリブルが生きる「縦のコース」が事前に潰されるようになった。国内リーグの直近2試合でゴールやアシストの結果を残せなかったのは、こうした相手の三笘対策と決して無関係ではない。

しかし今回のウエストハム戦で、三笘は異なるアプローチで勝利に貢献した。そのひとつが、左サイドから中央にポジションを移すプレーだ。

左サイドを主戦場としながらも、三笘は頻繁にポジションを中寄りに移した。三笘が中に入っていけば、空いた大外の左サイドにはSBのペルビス・エストゥピニャンが駆け上がり、攻撃に厚みをもたらす。中央部に入った三笘は前方にパスを出したり、そのまま最前線まで突っ走ったりと、シーズン序盤のグレアム・ポッター前政権時代にはないプレーを見せた。

こうした動きは、ロベルト・デゼルビ監督の元で普段の練習から取り組んでいることだという。ビルドアップの形を繰り返し練習し、選手たちが半ば自動的にポジションを移す。三笘は「チームの決まり事っていうか、そういうところがあります。僕が中央に入るという決まり事もあります。(外も中央も)どっちもやらないといけないと言われているので、そういうところは出していきたいなと思っています」と説明した。

ある時は外で、またある時は中へ――。デゼルビ監督が求めるこうした役割を、三笘はここにきてスムーズにこなすようになってきたわけだ。

そして三笘個人としても、プレーの幅が着実に広がってきた。相手の執拗なマークで縦へのドリブル突破ができなくても、中寄りにポジションを移し、周囲と連係しながら崩す。今回のウエストハム戦で、三笘は急速に進化を遂げている印象を残した。

このまま中央での連動性や破壊力が高まっていけば、今度は相手も中を警戒し、自然と外のマークが緩くなる。プレーの選択肢が広がれば、相手も守備の的が絞りにくくなり、大外からのドリブル突破も再び生きてくるというわけだ。

それでも三笘は、中央に入ってからの動きにまだまだ課題があると話す。

「やっぱり狭いスペースでの認知(=状況把握)のところも必要ですし。そこでもっとターンして、突っかけるところを増やしたいと思います。そこはあまりできていないので。中に入ってから、パスで攻撃を作るところはできていますけど、そこから相手の脅威になるところが、もっともっと必要かなと感じています」

先述したように、三笘は「プレミアリーグの日本人シーズン最多記録」の6点に並んだ。しかも国内リーグ全38試合中、23試合目での記録達成になり、さらなる記録更新への期待は高まる。本人はチームパフォーマンスを優先しながら、貪欲に結果を求めていきたいと決意を新たにした。

「行けるところまでいきたいですけど、そんなに簡単ではないと思うので。チームとしてうまくいった結果、僕にチャンスが来ているので、まずはチームを優先したい。その中でゴールを狙っていきたいと思います。毎試合、結果を残さないと、スタメンも取れてないと思うので。そういうところは、しっかりと意識していきたい」

国内リーグで3試合ぶりの勝利を上げたブライトンは、来季の欧州リーグ出場を狙える8位につけている。試合後サポーターは「We’re all going on a European tour(皆で欧州へ)」と高らかに歌っていたが、その裏では、プレーの幅を広げてチームを勝利に導いた三笘の姿があった。

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果たして、25歳のアタッカーはどこまで進化するのか。我々日本人と同じように、ブライトンのサポーターも、エースの三笘に期待の眼差しを向けているのである。

コメント

  1. 名無し より:

    やれるならドリブルよりパスのほうが前行くスピードはやいもんな

  2. 名無し より:

    三笘が中央に入るバリエーションをチームとして取り組んでるってのがいい
    三笘のドリブルはスピードに乗せたら止められないからボールが入った瞬間に身体当てられるようタイトにマークしてくる
    それを利用して少し落ちて釣る動きから逆をとればスルーパスで裏を取れる(前のゲームのアシスト)
    じゃんけんでチョキしか出さなければ相手はグーを出してりゃいい。こっちはグーもパーもあるぞって見せれば相手は絞れない
    優秀な監督に出会えて三笘も幸せだな

  3. 名無し より:

    こうやって世界最高峰のリーグでプレーしてる選手や監督、スタッフが相手やコンディション、試合状況に合わせて行ってる判断に、素人がもっと仕掛けろだの観客の声援が大きいときは勝負するべき(笑)とか言ってるんだから笑える。プロより試合を見てる(笑)。

  4. 名無し より:

    三笘にしろ、伊東にしろ、自分の特徴を生かしつつ、プレーの幅を広げ活躍中。
    時にはうまく行かない時もあるが、その成長しようという貪欲さがずっと見て来て凄いと思うし、どんな時でも応援し続けようという気持ちにさせられる。

  5. 名無し より:

    三笘の武器であるサイドでのドリブルを理解して敢えて中で勝負させてくれる監督に出会えて幸せだな

  6. 名無し より:

    『それはピッチの中にいればわかることなので』
    …これがサッカーIQというやつか

  7. 名無し より:

    素人がサッカーに口出すなんてのは海外じゃ当たり前の文化なんだが、賭けの対象にもなるから当然の権利でもあるし素人でも真剣に分析するし。、なんか知らんが日本じゃ素人は口出すなとかわけわからん自粛警察っぽいのが沸くよなあ
    何と戦ってるんだか。
    まあ単にマウント取りたいだけだろうけどw

  8. 名無し より:

    >>7
    海外の文化とかしらねぇよw
    日本には日本のスポーツ文化があるんだから、何でも海外が正しいと思うなよ欧米コンプが
    日本人のくせに日本に馴染めてなさそうで可哀想な奴だな

  9. 名無し より:

    決まりごと、ね

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