68歳だが、サッカーへの情熱は尽きない。2002年の日韓ワールドカップで日本代表を史上初の決勝トーナメント進出に導いたトルシエは、その後もあらゆるチームを歴任。カタール代表、マルセイユ(フランス)、モロッコ代表、FC琉球(日本)、深圳紅鑽(中国)、CSスファクシアン(チュニジア)、杭州緑城(中国)、U-19ベトナム代表、U-23ベトナム代表、ベトナム代表といずれも再建か、発展途上のチームをまとめ上げてきた。
そして、いま、トルシエは史上初のワールドカップ出場を目指しているベトナムのA代表を指揮。アジアのサッカー史に残る快挙を成し遂げるべく、日々奔走している。そんなフランスの智将は、日本への想いを募らせている。
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68歳となり、ベトナムを指揮するトルシエ。彼のサッカーに対する情熱はいまだたぎっている
「私が日本代表を指揮していた時、ヨーロッパの5大リーグでプレーしていたのは、ヒデトシ・ナカタのみだった。一方で、私の知る限り、いまヨーロッパのクラブでプレーする日本人は200人を超えている。これこそがワールドカップという大舞台で日本がドイツとスペインを破った理由だ。彼らが今年9月に敵地でドイツに4-1で快勝した結果を、誰もが不思議に思い、特別視したが、私は理解できる」
そして「日本サッカーは進歩している。ベトナムが直面している最大の問題もそこだ」と続けた百戦錬磨の指揮官は、強い警鐘を鳴らした。
「日本代表を指揮する際に、私は日本のサッカー協会(JFA)に対して、『より多くの日本人選手に海外移籍させるべきだ』と言った。そしてJFAは私の意見を聞いてくれた。20年が経ち、ヨーロッパのクラブでプレーする選手は200人を超えている。これだけで日本サッカーがどう進歩したかは十分に説明がつく。現在のベトナムは、20年前の日本を指揮した状況と似ている。
中国もそうだが、伝統的な東洋文化の影響を深く受けている。ベトナムもサッカーに対する考え方がかなり似ており、あまりオープンではないんだ。国際的な”開放性”とは、外国人コーチや外国人選手を招くだけでなく、モダンなサッカーへの理解と応用、何よりもサッカーに対する情熱を必要とする」
日本のようにサッカーに対する情熱の必要性を訴えたトルシエは、「なぜ中国のレベルが悲惨なまでに下がってしまったのか。それは、国内選手権のレベルが日本や韓国よりも低いからだ。ベトナムもそうだが、外国人選手たちとの格差は広まっている」とも指摘。より世界に目を向け、改革を施すべきだと論じた。