GKシュミット・ダニエル 明日のW杯ドイツ戦先発と言われたら「自信を持って臨める」

海外日本人選手

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【W杯まで1カ月 日本代表欧州組を直撃】

シュミット・ダニエル
(30歳・ベルギー1部・シントトロイデン)

「魅力的なサイズがある中でしっかりと動けている」と日本代表・下田崇GKコーチが絶賛するのが、30歳の長身守護神シュミット・ダニエルだ。9月27日のドイツ遠征・エクアドル戦でのPKセーブで一躍、存在感を高めた男への期待は高まる一方。「僕の理想像は(ベルギー代表の身長2メートルGK)クルトワ(レアル・マドリード)。見ていてシュート、入る気がしないですから」。神妙な面持ちで話す大型GKは「そびえ立つ壁」として、ドイツやスペインに立ちはだかれるのか──。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c9ad4e245afeb887e4e2afa5bc3438fec133cd1f

理想のGKは身長2メートルのベルギー・クルトワ

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─もともとはボランチでプレーしていた。

「東北学院中まではそうでした。でも、GK以外は生きる道がなかった。走れなくて、当時の監督からも『GK、やった方がいいんじゃないか』と言われてフィールド(プレーヤー)をやめました(苦笑)。今、思えばその選択は、間違いなく良かったですね」

─2014年に中大からJ1仙台入りし、J2の熊本、松本山雅へのレンタルを経て19年の夏からベルギーで海外挑戦に踏み出した。

「1年目はケガで半分ほど出られず、2年目は出場が増えてリーグ3番目くらいのセーブ率でした。3年目の昨季は感触が良く、特に後半戦は活躍できた。そこで『何かあるかな』と少し思ったんですが……。移籍しないまま今季を迎えました」

─立石敬之CEOも「ダンはベルギー国内で評価が高い」と言っていた。それでもステップアップがかなわないのは?

「コロナの影響もありましたけど、21年の頭に契約を延長したのが理由のひとつかな、と。日本人GKが欧州のクラブから請われるのは、本当に簡単なことじゃないと痛感してます。(日本代表GK)永嗣(川島=ストラスブール)さんを見て、自分もそうありたいなとは思いますが、彼のキャリアはマジで凄いです」

─川島選手が欧州5大リーグへ行けたのは?

「もちろん実力があればこそ、ですが、語学力もかなり大きいのかな。僕も2カ月前くらいからフランス語の勉強を始めましたが、難しいです」

─下田コーチも「日本人GKが海外で経験を積み重ねることは重要」と話している。

「確かに日本にいる時とは、スピード感が違いますね。(同国の名門)クラブ・ブルージュとか欧州CLに出るような質の高いチームは、こっちがミスしたら確実にシュートにまで持ち込んできます。攻守の完成度が高いし、もちろんFWの能力も高い。(海外に出て)いろんな国の選手と対峙できるのも大きい。日本にいた時は、黒人選手や欧州出身のFWと相対すると身構えることもありましたが、こっちでは普通のことですからね。もう慣れましたね」

─そうやってベルギーで試合に出ていても、カタールW杯の最終予選では出番なしに終わった。

「控えの立場を受け入れられない、とかは全くないです。練習を一緒にやっていても、ゴンちゃん(権田修一=清水GK)が試合に出る理由があるのは分かっていますから。自分が出る、出ないは二の次で日本に勝ってほしいという気持ちが一番でした。節目だった21年10月の(最終予選1勝2敗で迎えた4戦目の)豪州戦は僕、代表から外れていましたから(苦笑)」

─下田コーチに落選理由を聞いたことは?

「いや、ないですね。クラブの試合のフィードバックはもらってます。シュートが来る前の準備だとか、ルーズボール前の準備など、凄く意識するようになった。あと、慌てて下がるようなこともしなくなりました」

─課題と話していたシュートストップも最近、劇的に改善している。

「シントトロイデンのGKグループでやってる練習の成果です。今季からのGKコーチはドイツ人でアグレッシブなスタイルがモットー。新加入のGKジョーは、能力が高くて人間的にも素晴らしく、前向きな声掛けをしてくれるのも大きいですね。僕はもともと優しい性格なんですが(笑)、彼が加入して闘争心をかき立ててくれた。『ベルギーで一番のGKグループになろう』とみんなで話しているので実現させようと頑張ってます」

─それが代表での好プレーにつながっている。

「そうですね。エクアドル戦のPKストップは、90分の試合の中では初めてだったんです。今までPK戦のシュートしか止めたことがない。反響はありました。ただ、流れの中のプレーを見直すとハイボールはもっとバ~ッとはじき飛ばす感じでやりたかった。シンプルに放り込んでくる相手もいますし、出る、出ないの判断基準をしっかりすることが大事。ベルギーに来る前は(ゴール)エリアを基準にしていましたが、今はボールの高い低いで判断していることが多いかな。武器である高さを生かすことでチームを助けられるプレーも増やせると思います」

─エクアドル戦を経てW杯のドイツ戦に出るイメージは湧いた?

「おそらくドイツもコスタリカもスペインも放り込んではこないでしょうね。ただ、セットプレーは確実にある。エクアドル戦やベルギーでの経験は生かせると思います」

─自分にとってのカタールW杯とは?

「ロシア大会が終わって代表に呼んでもらえるようになってから、ずっとW杯は意識してました。自分が今、そこに入るか入らないかという位置にいられることは誇れること。目標に向かって突き進んだ自分を褒めたいかな、とも思ってます。でも決して満足はしてないし、ここまで来たからには(W杯の)試合に出たい。人生を変えられるチャンスだと思うんで。それにしてもJ2にいた時には、今の自分を想像もできなかったですね」

─「明日のドイツ戦に先発する」と言われたら?

「緊張はメチャクチャするでしょうね(笑)。そういう状態になったことは、人生で一度もないんですけど。でもきっと自信を持ってW杯に臨めるかなと。試合前日の心境を永嗣さんに聞いたら、どんな答えが返ってくるんだろう……。今度聞けたらぜひ聞きたいです」

─理想のGK像は?

「クルトワですね。実績的に世界ナンバーワンだし。彼と比べたら自分は全部足りない。やっぱりシュートが入る気がしないんですよ、見ていて」

─そのクルトワからロシアW杯で原口元気(ウニオン・ベルリン)と乾貴士(清水)は得点した。

「本当に元気、凄いなぁ(笑)。乾君はペナ(ペナルティーエリア)の外からでしたしね。入る気がしないと思われるGKでも、失点することはあります。僕が担っているのは、それだけ難しい仕事なんですよ。勝敗を託される責任の重さもつきまといますけど、その分(フィールドの選手みたいに)走らないから仕方ない。常日頃からそう言い聞かせてます」

─今の自分が目指すべきことは?

「チームを勝たせられる存在になることが大事。そうなれば代表でも必要とされるし、W杯で試合に出られる可能性も上がる。まずはベルギーで最少失点を続けたいです」

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▽シュミット・ダイニル 1992年2月3日生まれ。米国イリノイ州で米国人の父と日本人の母との間に生まれ、2歳で仙台市に移住。東北学院高入学後にGKに本格的に転向。中大から2014年にJ仙台入り。熊本、松本への期限付き移籍を経て19年7月、ベルギー1部シントトロイデンに完全移籍した。18年8月に代表初招集。同年11月のベネズエラ戦で代表デビュー。197センチ・88キロ。

コメント

  1. 名無し より:

    川島がメスに移籍したのは34歳とかそのへん。まだシュミットも行けるやで。

  2. 名無し より:

    ドイツはセットプレイ怖いから
    シュミット先発はある

  3. 名無し より:

    霧でおかしくなったメキシコ戦とか吉田がミスしたチュニジア戦とか
    代表でシュミットが先発する時って相手がやる気なくてシュート打たれないか
    味方がおかしくなって失点する試合が多いんだよね
    この前のエクアドル戦はよかったけどW杯までにもう一回
    きちんと相手が攻めてきて味方と一緒に守りきる試合を経験させてあげてほしいとは思う

  4. 名無し より:

    ドイツスペイン戦は押し込まれる展開が続くと予想される中で
    権田はブラジル戦、シュミットはエクアドル戦でその試合展開をよく守っていた
    (ついでに五輪スペイン戦の谷も)
    ここらへんは誰選んでも実績による期待感があるからまだいい
    互角か攻勢にいけそうなコスタリカ戦は逆にキーパー選びを間違えるとよからぬ凡ミスや判断ミスで勝ち点落とす結果になりそう

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