「それをしないと使ってもらえない」堂安律が力を入れるフライブルク指揮官からの要求「攻撃はすごく評価してくれている」

堂安律

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サッカーの1シーズンは長い。どんなチームにも調子のいい時と悪い時が訪れる。では悪い時にどんな対応策を見出し、そこから抜け出すのか。クラブの真価が現われるところだ。

日本代表の堂安律がプレーするフライブルクは、シーズン序盤に複数の主力がケガで離脱したり、またレギュラーに抜擢された若手が順応に時間を要したりすることもあり、調子を落としていた。ブンデスリーガ3節ではシュツットガルトに0-5、続く4節はドルトムントに2-4、7節ではバイエルンに0-3とそれぞれ完敗。DFBポカール(ドイツ杯)では2部のパーダーボルンに1-3で敗れた。いずれも数字以上の差を感じさせる内容だった。

調子が良くないとはいえ、フライブルクは2シーズン連続でヨーロッパリーグ(EL)に出場しているクラブだ。ブンデスリーガで確かな立ち位置を築いているという自負もある。それゆえ「自分たちはこんなもんじゃない。きっかけがあればまたすぐ勝てるようになる」という思考状況になってもおかしくない。

だが、それは危険で、フワフワとした状況認知に陥りがちだ。問題点はどこなのか、そこを改善するために何をしなければならないのか。そのあたりの分析が甘くなってしまう。

https://news.yahoo.co.jp/articles/803a4ff29d6f0398496131a52ca98227906c14a5

ケルン戦後、シュトライヒ監督から声をかけられた堂安

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それだけに監督の決断の鋭さと正しさが大きな意味を持つ。クリスティアン・シュトライヒ監督はすぐに、「いま自分たちの状態はよくない。原点から取り組まなければならない」と戒め、スパッと切り替えた。いま勝てなくても我慢。そして10月、そして11月の国際Aマッチウィークによる中断を最大限に生かし、チームの底上げと立て直しに時間をかけた。

その時の取り組みが少しずつ実を結びつつある。

11月30日のELでギリシャの名門オリンピアコスを5-0で一蹴すると、ブンデスリーガでは3試合連続無失点で3連勝。順位を一気に6位にまで上げてきた。

シュトライヒ監督は12月17日に行なわれたケルン戦で、2-0の完封勝利を飾った後の記者会見で「チームは厳しい状況でも気持ちを切らさずに戦える状況にあった」と話し、選手たちのプロフェッショナルな姿勢をこう称えた。

「フル出場しつづけている選手たちは間違いなく疲れている。でも、頭の中は常にフレッシュだ。足が重いとか考えずに、やれることをやり続けようと頭で自然に考えることができたら、これほどまでのプレーをすることができる。みんな足を止めずに前へと進みつづけているし、どんどんいいプレーを見せてくれている。選手たちには脱帽だ」

週2ペースの過密日程が続く中でも、ピッチでハードワークを見せている選手のひとりが堂安だ。4-2-3-1システムの右ウイングで先発したケルン戦では豊富な運動量だけでなく、ボールを奪い取って攻撃に繋げたりするプレーでも目立っていた。

ELのウェストハム戦(12月14日)後に監督がそうした堂安のプレーを褒め、もっとできると期待を込めて話していた。堂安もそんな監督のメッセージをしっかりと受け止めている。

「それ(ハードワーク)をしないと監督は使ってくれない。攻撃のクオリティはすごく評価してくれているので、(球際での)シャープさや、ハードワークを見せていれば、90分使ってくれる。監督はいつもそれを示してくれますし、今日はそれができたかなと思います」

では、堂安自身はフライブルクが調子を取り戻せた要因をどう見ているのだろう。ちょっと考えた後に口から出てきた言葉は「団結力」だった。

「団結力じゃないですかね、やっぱり。全員が全員、本調子じゃない時が最初の方にありましたけど、チームが助け合ってこうやってこれたので。もちろん、監督の手腕もあると思います」

前述したシュツットガルト、ドルトムント、バイエルン戦で大量失点したフライブルクだが、今シーズンの無失点試合は首位レバークーゼンと並んで最多の6に及ぶ。ここ4試合での失点数(1)はリーグ最少だ。オーストリア代表のFWミヒャエル・グレゴリッチュに頼りがちなオフェンス面は得点力に改善の余地を残す、上位進出を狙っていくうえで大事な、堅実な守備というベースが整ったのは間違いない。

3年連続となるEL出場権の獲得(5位フィニッシュ)が現実的な目標になってきた。

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フライブルクは5位ドルトムントと勝点3差、6位フランクフルト、7位ホッフェンハイムと同勝点の8位でウィンターブレイクを迎えた。次節は1月17日、ホームでウニオン・ベルリンを迎え撃つ。
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