「悔しさのほうがはるかに強い」鮮烈デビューの三笘薫が語った“本音”。試合後は翻弄した英代表DFの元へ駆け寄り…

三笘薫

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ブライトンの三笘薫がプレミアデビューを飾った。

8月13日にホームで行われたプレミアリーグ第2節のニューカッスル戦で、74分から3−4−3の左ウイングバックとして途中出場した。

投入時のスコアは0−0。ブライトンが押し込む展開のなか、チームとしてもゴールの欲しい状況でピッチに入った。本人は自分自身に集中して緊張することもなかったといい、「仕掛けるところと、ゴール前に入っていくこと」を意識していたという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9bbdb7953475248f6b2e4d72568572d06cab3962

ニューカッスル戦でプレミアデビューを果たした三笘

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アップ中に注視していたのが、対峙する選手の特徴だった。自身のプレーエリアである左サイド、つまり相手右サイドの選手の動きを観察し、突破のイメージを膨らませていた。

投入直後はなかなかパスが入らず、「そこは苦しかった」と漏らす。しかし投入から6分後、GKからのロングパスを胸でトラップ。ボールを宙に浮かせてイングランド代表DFキーラン・トリッピアーをかわすと、この試合がホーム初戦となったブライトンサポーターを立ち上がらせた。

さらに、日本代表MFが魅せる。

トリッピアーにマークにつかれた状況から、ドリブルを開始。守備に定評のある名手を交わしてクロスボールを入れ、ドイツ人MFパスカル・グロスに決定機をもたらした。シュートは枠を外れたが、この試合最大の決定的なチャンスを作った。

その他でも、相手2選手の間を抜くスルーパスを入れたり、こぼれ球を拾ってクロスボールを供給したりと、チームに勢いを与え続けた。試合が0−0で終わると、両手を大きく叩いて悔しそうなジェスチャーを見せていたが、ブライトンの攻撃にスイッチを入れる役割を果たした。

世界最高峰のプレミアリーグでプレーすることを「夢だった」と語っていた三笘は試合後、静かにデビュー戦を振り返った。

「一つは夢が叶ったんで、そこはうれしいです。でも結果、チームが勝てなかったんでそこは悔しいですね。入りやすいシチュエーションでしたし、なかなかボールが来なかったんでそこは苦しかったですけど、一つチャンスはつくれた。そこをどんどん、どんどん出していくのが求められるかなと思います。どういうプレーヤーかサポーターの皆さんに見せられた。コーチ、監督にもできるというところを少しは見せられたので、これからどれだけ結果を出せるか。もっともっと長い時間になったときに結果を出さないといけないなと思っています」

プレミアリーグでデビューしたうれしさと、チームを勝利に導けなかった悔しさ。どちらのほうが大きいかと聞いてみると、悔しさのほうがはるかに強かったという。

「引き分けで終わるような試合ではなかったので。もう少し出たかったというのが本音ですけど、こういうプレーを続けていき、もっともっと信頼を得られるようにしないといけないと思っています。監督は(選手交代のタイミングで様子を)見るところがあるので、本当にこういう少ない時間でどんどん、どんどんやっていかないと交代も次の選手に移っていくだけなので。毎回が勝負かなと思っています」

筆者が印象に残っているのは、試合後の一コマだった。試合終了のホイッスルが鳴ると、三笘は近くにいた味方選手とタッチ。その後、マッチアップしたトリッピアーの元へ歩み寄り、握手を交わしてお互いの健闘を称え合っていた。

「トリッピアーとのマッチアップを制したのは自信になったのでは?」。そう尋ねてみると、ここでも謙虚な姿勢を崩さなかった。

「(トリッピアーは)前半すごく日差しが強い側でやっていて、相当疲れていたと思う。その状態なら自分が勝たないといけないと思っているので。コンディションの差もあったと思いますけど、そういったところでも抜けたっていうのは一つ収穫かなと思っています」

現状は左ウイングバックの2番手である。レギュラーはベルギー代表MFのレアンドロ・トロサールで、柔らかいボールタッチと高いシュート精度が武器だ。一方の三笘は、まだ戦術理解などで適応段階にあるため、今後もしばらくは試合の流れを変えたい時の「ジョーカー」として起用される試合が多そうだ。

そして、もう一つ地元メディアで指摘されているのが守備だ。1対1の守備でトロサールに軍配が上がるとの声があるが、ニューカッスル戦の終盤に三笘が相手に激しく寄せていき、ボールを奪い取るシーンがあった。

この場面については、「守備ができないと思われているのが現状ですが、僕はそういう風には思っていない。そこをどんどん見せていかないとなと思っています」とし、守備もきっちりこなしてアピールしていきたいと力を込めていた。

取材を終えてブライトンの本拠地アメックス・スタジアムから列車に乗ると、隣の席にいたホームサポーターが三笘の話題を口にしていた。決定機を作ったドリブル突破や仕掛けは、サポーターにも強烈なインパクトを残したようだ。1年前の移籍決定時はほぼ無名の存在だったが、Mitomaの名はブライトンで急速に広まっている。

ブライトンは21日にプレミアリーグのウェストハム戦、23日にリーグカップのフォレスト・グリーン・ローバーズ(英3部)と敵地での連戦が続く。中1日で戦うリーグ杯はローテーションを行うと見られ、初先発する可能性が高そうだ。

三笘は「連戦に入ってくるので、そういうところで出番があればチャンスかなと思っています。コンディションを落とさないで、怪我をしないことが第一かなと。もちろんどの試合も先発は狙っているので、練習からアピールしていくだけです」と気持ちを高めていた。

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次節、ブライトン対ウェストハムは21日22時より試合開始予定。

コメント

  1. 名無し より:

    まぁ守備に関してはリーグレベルが違うから一概には言えんけど、ジュピラーでは相当ボール奪取率高くてプレス怠らず玉際も結構激しかったし、WBってことでアップダウン繰り返しても後半もスタミナ保ててたしな。
    ユニオンじゃLWBをラプッサンから奪い取ったというか、三笘を入れたいが為にラプッサンを他ポジに移動させたというか、とにかくスタメンでの存在意義が認められればブライトンでも何かしら変わるかもな。
    前も誰か書いてたけど、フィジカル強化の効果がありありと見える(アジリティーは落ちてない)ので期待しかない。

  2. 名無し より:

    三笘入ってからGKのロングフィード全部三笘狙ってたような。
    ボール奪えるチャンスにはガツガツ行くけど平常時に対面してるときはちょっと離し過ぎかな。相手が楽にプレイできてた。抜かれるリスク増えるけど相手に余裕持たせない守備がプレミアでは求められてる気がする。

  3. 名無し より:

    相変わらず受け答えしっかりしてんなあ……相手が疲れてたんじゃないかとかよく見てるね。

  4. 名無し より:

    トップスピードのプレーに慣れてるからあっさり足出してボール回収できるのほんとすごいと思う。

  5. 名無し より:

    素質もそうだけど、かなり理論的にサッカーに取り組んでるよね。
    ちゃんと学習と思考の上で成り立ってる。
    それでいて自分の感覚的な部分も大事にしているし、日本人プレーヤーのお手本と言ってもいいのでは。

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