
カタール・ワールドカップ(W杯)を準優勝で終えたフランスは、デシャン体制を継続し、欧州の頂を目指す。守護神ロリスやヴァランといった重鎮がチームを離れた中、ムバッペを新キャプテンに据えた新生レ・ブルーは、このユーロ予選初戦でGKメニャンを新守護神として起用した以外、W杯の主力を起用。3トップはコマン、コロ・ムアニ、ムバッペが並んだ。
一方、カタールW杯でベスト8のオランダは勇退したファン・ハールからロナルド・クーマンに指揮官を変更。就任2度目の元代表DFの下で復権を目指す。その初陣ではファン・ダイクやデ・ローン、デパイ、ベルフハイスといったW杯の主力と共に、これが代表デビューのヘールトライダやテイラー、シャビ・シモンズとキャップ数の少ない若手が抜擢された。
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フランスが幸先良しの4発快勝発進

新キャプテンを巡る確執も伝えられた両エースの連携によって最高のスタートを切ったホームチームは、動揺が見受けられるアウェイチームに対して畳みかける。8分、相手陣内右サイドで得たFKの場面でキッカーのグリーズマンがゴールへ向かういやらしいボールを入れると、GKシレッセンが短く弾いたボールに詰めたウパメカノが体ごと押し込んだ。
完全に出ばなを挫かれたオランダは、ムバッペら相手の快足アタッカー陣のカウンターというリスクを負いつつ、後方から丁寧にボールを動かしながら早い時間帯のゴールを目指す。
足元での細かい繋ぎに加え、デパイやワイナルドゥムがオフ・ザ・ボールの動き出しでアクセントを加えながら、幾つか際どいシーンを作り出すが、決定機には至らず。
一方、ボールを持たれてもあまりストレスを感じないデシャンのチームは、新キャプテンが決定的な仕事を果たす。21分、相手陣内左のハーフスペースでボールを運んだチュアメニが背後のスペースを狙ったスルーパスを供給。このパスに近づいたコロ・ムアニが見事なスルーでDFをつり出しつつ、オフサイドを回避すると、完璧に入れ替わったムバッペがボックス内でのGKとの一対一を難なく制した。
痛恨の3失点目となったオランダは、センターバックのポジションで完全に穴となってしまったヘールトライダを本職の右サイドバックに回し、ティンバーをファン・ダイクの相棒にコンバート。遅きに逸した感もある立ち位置の変更で守備の修正を図った。さらに、33分にはテイラーを下げてヴェグホルストを投入し、デパイを左ウイング、シャビ・シモンズをインサイドハーフに移した。
一連の変更で流れを引き寄せたいオランダだったが、ゲームコントトールにより重きを置いたホームチームを前に押し返すことは叶わず、3点ビハインドのままハーフタイムを迎えた。
互いに選手交代なしで臨んだ後半は、フランスが大きなアドバンテージを持っていることもあり、イーブンな展開が続いていく。その中でオランダは手数をかけた攻めやデパイの直接FKでゴールを目指すが、要所を締める相手の堅守に手を焼く。
攻撃面でアクセントを加えたいオランダは、ベルフハイスとシャビ・シモンズを下げてマレン、クラーセンと異なる特長を持つ選手を続けてピッチに送り込む。
一方、後半に決定機の数は減ったものの、危なげなく時計を進めるホームチームは、75分を過ぎて殊勲のチュアメニ、グリーズマン、コロ・ムアニを下げてカマヴィンガ、フォファナ、ジルーの投入で試合を締めにかかる。
ホームでもうひと盛り上がりが期待された中、それに応えたのは新キャプテン。試合終了間際の88分、相手陣内左でルーズボールを回収したムバッペがそのまま斜めのドリブルでボックス付近まで運ぶと、巧みなシュートフェイントでDFのタイミングを外し、腰の捻りを利かせた右足のシュートをゴール左隅に突き刺した。
その後、初招集のケフラン・テュラムを早速デビューさせる余裕の采配を見せたフランス。後半アディショナルタイムにはウパメカノのハンドでPKを与えたものの、デパイのシュートをGKメニャンが見事な反応ではじき出し、クリーンシートも達成。
第二次クーマン体制のオランダを粉砕した新生レ・ブルーが最高の形でリスタートを切った。