「みんな海外に行きたい、代表に入りたいと言っていたけど…」汰木康也がプロ入り10年目で明かす胸中。カタールW杯はどう映った?

ネタ・談話

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汰木康也、27歳。現在ヴィッセル神戸で活躍する彼と、筆者が最初に出会ったのは3歳の時だ。それから小中は同じ学校に通い、多くの時間を共有した。

振り返れば、私より1つ年上の汰木は常にスーパースターだった。サッカーではもちろん、体育の記録会でも桁違いの能力を発揮し、勉強の成績も上々。きっとプロになり、将来は日の丸を背負う逸材になるのだろうと、その背中を後ろから見ていた私には何か確信めいたものがあった。

予感は的中。横浜F・マリノスでのトップ昇格は逃したものの、汰木は高卒でプロ入りを勝ち取り、モンテディオ山形へ入団した。だが、1年目の出場はわずか2試合で、チームがJ1に昇格した翌シーズンは1試合止まり。プロの壁にぶち当たった。

そのまま埋もれてしまう選手も少なくないが、再びJ2を舞台に戦った3年目の2016年に21試合に出場。待望のリーグ戦初ゴールも奪い、一気に台頭すると、プロ6年目にAFCアジア・チャンピオンズリーグにも出場する浦和レッズへ。新天地でも2年目以降、確実に出番を増やした後、昨季に神戸に加入し、キャリアハイの5ゴール・5アシストをマークした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/088be2528b9a8c0a8ff9a5dfc6ef69f40e551d19

山形時代の汰木。1年目と2年目は試合に出られず苦しんだが…

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少しずつステップアップしているようにも見えるが、本人の感覚的にはどうなのか。久々に顔を合わせたインタビューで、「プロ入りから今時点でのキャリアに点数をつけるなら何点ですか?」と尋ねてみると、彼は真剣な表情で「50点もいってない」と答えた。

「全然駄目です。山形では苦しい時期が続いたし、浦和でも1年目はやっぱり試合に出られなくて、すごく苦労して。自分が思っていたキャリアよりは、何て言えばいいか……。もっと早くに今の位置にいるべきだったのに、という感覚はあります。

チャンスはたくさんあって、色んなチャンスや選択肢が毎試合転がっている。いつ、どんなチャンスがあるか分からない。本当に毎試合毎試合、アシストやゴールだったり、直接チームを勝たせられるような結果を出す気持ちでやっていますけど、そんな簡単にはいかなくて。でも、その気持ちは常に持っておかないと、というのはあります」

幼少期から、海外挑戦への強い憧れを口にしていた。その思いは今も変わっていなかった。

「昔から『Jリーグでプロになって活躍して、海外に行きたい』と言っていて、今、Jリーグで10年目になりました。まずJリーグでタイトルを獲りたいという思いがありますけど、やっぱりそこもサッカー一筋でやってきたからには諦めたくない。みんな『海外に行きたい』『代表に入りたい』と言っていたけど、段々年を取っていくにつれて何となく、なあなあで諦めていっちゃうんだろうなと。そこになるべく最大限挑戦したいなというのは、すごく考えています」

今季の開幕前には、昨季に神戸で共闘したボージャン・クルキッチが汰木を絶賛し、「欧州でやれるポテンシャルも秘めている」と発言した。バルセロナでもプレーした元スペイン代表の太鼓判は、これ以上ないほどの刺激になっているようだ。

「素直に嬉しかったです。なんていうか『ヨーロッパでやれる』みたいに言ってくれたのも嬉しかった。あのボージャンの言葉は、自分にとってすごく良いプレッシャーになるかなと思っています」

インタビューは3月15日に実施。奇しくも日本代表メンバーの発表日だった。「日の丸への思い」を直球でぶつけてみた。

「もちろんゼロじゃないし、サッカーを始めた頃から目標だから、もちろんありますけど、意識してどうこうなるものじゃない。本当にさっき言った海外とかとも一緒で、自分がチームをいつも勝たせるような結果を出していて、チームもそれでタイトル争いをするようなとこにいて、という状況に常にあれば、自然とそういうチャンスがあるのかなと思っています。

何か特別なことをするわけじゃなく、本当にヴィッセルでの毎試合毎試合で結果を出して、常に優勝争いをできる位置にチームがいて、というのがまずは最優先で、一番の近道。そこを意識していれば自然に、そういうチャンスもあるのかなと」

森保ジャパンが世界を沸かせたカタール・ワールドカップは、どんな思いで見ていたのだろうか。

「自分より若い選手が活躍していて、単純にやっぱり少し悔しかったし、そういうのもあって、あんまりしっかり見られませんでした。日本が勝ちましたけど、ドイツもすごかった。本当に質が高いなと思いました。もちろんアルゼンチン、フランスとかのゲームの強度もすごい。かなり刺激は貰えました」

開幕3連勝を果たすなどし、すでに5勝を挙げている神戸は、6節を終えてJ1首位につける。汰木は自身の状態を「もっとコンディションを上げないといけないけど、それでもチームは勝っている。あとは自分のパフォーマンスが早くトップに上がってくれば最高ですが、もう一歩という感じです」と表現した。

歯車がかちっと嚙み合った際の爆発力は、日本トップクラスだ。節目のプロ10年目。横浜FM、山形、浦和で成長したドリブラーは、神戸で大輪の花を咲かせ、チームを悲願のJリーグ制覇へ導けるか。幼馴染に優勝インタビュー、これは私の記者としてのひとつの夢だ。

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次節、首位神戸は明日14時より新潟と対戦する。

コメント

  1. 名無し より:

    いい記事だな、応援したくなる

  2. 名無し より:

    いい記事だな、応援したくなる

  3. 名無し より:

    無理に海外言っても植田とか遠藤けみたいになってたろうし

  4. 名無し より:

    無理に海外言っても植田とか遠藤けみたいになってたろうし

  5. 名無し より:

    汰木は確かにセンスを感じる
    神戸や浦和のサポじゃないから詳しくは知らないけど

  6. 名無し より:

    汰木は確かにセンスを感じる
    神戸や浦和のサポじゃないから詳しくは知らないけど

  7. 名無し より:

    結局シーズン前にあった中東からオファーの噂はなんやったんや

  8. 名無し より:

    結局シーズン前にあった中東からオファーの噂はなんやったんや

  9. 名無し より:

    イニエスタやボージャンとプレーできたんだから良いキャリアだよ

  10. 名無し より:

    イニエスタやボージャンとプレーできたんだから良いキャリアだよ

  11. 名無し より:

    汰木をレンジャーズに売ってセルティックに冷や汗をかかせるべき。
    汰木ならすぐにプレミアにステップアップ出来ると思うので。

  12. 名無し より:

    汰木をレンジャーズに売ってセルティックに冷や汗をかかせるべき。
    汰木ならすぐにプレミアにステップアップ出来ると思うので。

  13. 名無し より:

    めちゃくちゃ良い記事だな
    ユルキは普通にセンスあるし楽しみだわ

  14. 名無し より:

    めちゃくちゃ良い記事だな
    ユルキは普通にセンスあるし楽しみだわ

  15. 名無し より:

    ゆるきとか森島みたいな選手ってポジショニングだけを伸ばさなきゃならないんだよな。
    できれば早目に海外の海外でもスペインとかイタリアとかでの教育を受けるべきだった、と感じる

  16. 名無し より:

    ゆるきとか森島みたいな選手ってポジショニングだけを伸ばさなきゃならないんだよな。
    できれば早目に海外の海外でもスペインとかイタリアとかでの教育を受けるべきだった、と感じる

  17. 名無し より:

    冷静に見れているね。まぁ神戸でレギュラー張れていれば、それだけで成功とも云えるけれどね。

  18. 名無し より:

    冷静に見れているね。まぁ神戸でレギュラー張れていれば、それだけで成功とも云えるけれどね。

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