
鎌田は第2戦で後半35分からインサイドハーフで途中出場。ゴールが間違いなく必要な状況である一方、ゴールが生まれる雰囲気を生み出せていない展開だった。そうした状況でピッチに立った鎌田にしても、それを機にギアをオフェンシブに入れるというわけではなく、チームとしての決まりごとに沿ったプレーが求められるというのは、興味深いところではある。
「やることは、ウチははっきりしている。インサイドハーフとしてやるべきことをしっかりこなしてはいますけど、それ自体が特にめちゃくちゃ上手くいっているわけではないんで、今シーズン。ちゃんとチームとして決まり事があって、それはそつなくちゃんとこなしてるかなっていう感じですね」(鎌田)
https://news.yahoo.co.jp/articles/87e1cdfec1473b0e521c9a9967c0bf1d7e838994
ラツィオでの役割ついて語った鎌田「やるべきことは基本的には毎試合やっている」

「そもそも毎試合のように、試合に出たら『チャンスを作れてない』だとか、『ゴールを取れてない』とか、そういうニュアンスで見られてることがまずおかしいと思う」
そう答えると、チームにおける役割や事情について語り出した。
「ラツィオのインサイドハーフだとルイスが一番出ているかもしれないですけど、彼もめちゃくちゃゴールを入れてるわけじゃないし、アシストしてるわけでもない。マテオに関しても。そういうゴールやアシストの部分って、自分だけがいつもなぜそんなに求められているのか。ラツィオとしてやるべきことは基本的には毎試合やっていると思う。ただチームとしてのやり方が、そんなにゴールを多く取れるようなやり方をしていない」
ゴールチャンスを作り出し、シュートチャンスを作り出すのが役割であれば、ゴールやアシストが少ないという批判にも納得がいく。だが、そうではない役割を担っているなら、やっている役割に対する評価がされるべきなのだろう。では鎌田が持っている能力が今の役割で発揮されているかというと、頷くのは難しい。
フランクフルト時代に鎌田はボランチでも長くプレーをしていたし、そこでのクオリティーを高く評価されていた。フランクフルトのベテラン記者ヘルムート・シェルツァーが、こんなふうに語っていたことを思い出す。
「鎌田は昔のサッカーでいえば、ゲームメーカーに属する選手だろう。私の解釈ではゲームメーカーというのは、攻撃における想像力を持っている選手のことだ。鎌田はまさにそうだし、それでいて守備やほかの役割をおろそかにすることもない。信頼できる選手だ」
フランクフルトの地元紙「ヘッセンシャウ」は「どれだけ優れた攻撃陣がいても、パスがそこに出てこなければ意味がない。だが、フランクフルトには鎌田がいる」と称賛を惜しまなかったし、鎌田自身も当時ボランチでのプレーに手応えを掴んでいた。
「自分自身ゴールも、もちろんそういうチャンスがあれば関わっていける選手だとは思います。ただ、僕自身はいつも言ってますけど、1人でドリブル、1人で打開できるわけでもない。(ポジションも)インサイドハーフで出ているので。なかなかね、そういう部分というのは難しいかなと」(鎌田)
スペースへの入り込みが上手く、うしろから巧みに攻撃をコントロールし、相手守備がずれる瞬間を作り出すことができる。それが鎌田の特徴でもあった。
もちろんフランクフルト時代のボランチの役割と、今のラツィオでインサイドハーフが担う役割は異なる。守備時のポジショニング、選手との距離感、攻守のバランス。さまざまなことを新しく学んでいるのは間違いない。こうした時期の過ごし方も鎌田はこれまでのキャリアで身に付けている。今を凌ぎ、やるべきことをそつなくこなす段階を超えて、そこにプラスアルファをもたらす鎌田のプレーが見られるはずだ。
