旗手怜央が思い出した「言われっぱなしではいけない」の言葉。今季の課題は、自分の言葉で伝えるチームメートとのコミュニケーション

海外日本人選手

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スコットランドのセルティックでプレーする旗手怜央。初めての欧州サッカー、欧州生活で感じた、発見、刺激、体験を綴っていく。セルティックで2シーズン目となる今季開幕前に、旗手は昨季の反省をふまえ自らの課題克服を試みた。「ボールを止める位置」と「ターン」。そして今回はもう一つ大きなテーマについて取り組んだことを明かした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d5624edda3b7a59fbb3956cfe32f5a52536f8232

開幕戦で改めてヨーロッパの雰囲気を感じた

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「OK」ではなく、自分の「言葉」で言い返す。

ヨーロッパでプレーしていくには、やはり自己主張が大事になる。

2022-23シーズンのスコットランドリーグ開幕は7月31日、ホームのセルティックパークでスタートした。

チームバスで会場に向かうと、スタジアムの前には多くのファン・サポーターが出迎えてくれていた。いつもならスタジアムの入口までバスを乗り入れるが、前年度のリーグ王者であり、リーグ開幕戦ということもあったからなのだろうか。僕らはかなり手前でバスを降りると、ファン・サポーターが両脇に集まるなかを歩いてスタジアムに入った。

ファン・サポーターに見守られながら会場入りした際には、リーグ優勝した時を思い出し、胸が高鳴ると同時にヨーロッパの雰囲気を改めて感じた。

それは試合前も、だった。対戦相手であるアバディーンの選手たちが、前年度王者である自分たちを称えるかのように、花道を作ってくれた。「Guard of honour」と呼ばれる、それだった。

またファン・サポーターは、コレオグラフィーによりトロフィーとクラブエンブレムをスタンドに描いてくれた。その絵を見て感動したものの、平常心を保てていたのは、応援の熱気や雰囲気に慣れた証かもしれない。

2-0で勝利した開幕戦は、66分に交代する結果となったが、チームの攻守を機能させられた確かな手応えがあった。

セルティックは4-3-3システムをベースにしているが、守備時には4-4-2の形になる。自分がカラム・マクレガーと共に中盤の底を担い、広範囲をカバーする役割を求められている。そのうえで、アンジェ・ポステコグルー監督からは、前からボールを取りにいくようにと言われているが、これがなかなかどうして、かなりの守備力と運動量を問われることになる。

昨季までならば、自分がボールを奪いきらなければと思って臨んでいたが、今季はその考えを発展させることができた。

自分ではなく、チームという単位で、うまくボールを奪う、もしくはチームとして相手をはめることを意識するようになったからだ。

また、それには自分が周りを動かす、自分が周りに伝える必要があった。

「コミュニケーション」こそが、前回述べた「ボールを止める位置」や「ターン」と共に、自分がプレシーズンに意識して取り組んだ課題だった。

昨季までならば、意図していないところにパスが来たり、判断が違っていたりしてミスになった時、チームメートに何かを言われると、「OK、OK」と返事をしてしまうケースが多かった。咄嗟に言葉が出ず、「わかった」という意味を込めて「OK」と言っていたのだ。

結果、たとえ自分の判断が間違っていなくても、それを認めてしまうことになる。次のプレーや再び似たような状況に陥った時の、改善策を提示することもできていなかった。

だが、これも少しずつ勉強している語学の成果と環境への慣れと言えるだろうか。今シーズンはプレシーズンの時から、つたないながらも、「自分はこうしたかった」「どう動いてほしかった」というのを伝えるようにした。

いつだったか(吉田)麻也さんが、海外では「言われっぱなしではいけない」と言っていたことを思い出した。

意図を伝えたり説明するのが面倒になり、「OK」と答えてしまうと、試合中に自分が見る範囲ややらなければならないことがどんどん増えていってしまう。その結果、自分の本来やるべきプレーができなくなり、自分も試合から消えてしまうし、もっと言えばチームのためにもならない。

だから、今季は試合中やプレーが途切れたタイミングなどでも、チームメートをつかまえて話をするようにした。自分がチームメートに意図を伝え、チームメートを声で動かせるようになって、ボールを奪ったタイミングでパスが出てくるようになった。

前にも後ろにも横にも、そうした働きかけをしていくことで自然とボールも集まってくるようになった。

開幕戦で先制点を決めたセンターバックのスティーヴン・ウェルシュは、同サイドということもあり、ボールを運ぶ時に、常に自分を探してくれるようになった。コースがない時には「レオ! レオ!」と呼んでくれるようになった。そうした関係性を築けたのも、彼が縦にパスを出せる選手だと信頼していると伝えた結果だと感じている。

また守備時には、横に並ぶことも多いマクレガーと補完関係を築けているのも、「OK」ではなく、自分の言葉で「意志」や「意図」を伝えた効果だと感じている。

「ターン」と「ボールを止める位置」がわかり、チームの攻撃をスピードアップさせることができた。守備では「言葉」で「周りを動かすこと」により、チームとして意図してボールを奪えるようになった。

攻守に手応えをつかんだ開幕戦だったが、ケガもあり線戦を離脱してしまった。ただし、それほど重症ではないため、開幕戦でつかんだ手応えが消えないうちにピッチに戻ることができた。ここから再びピッチで躍動したいと思っている。

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次節、セルティックは28日にダンディーUと対戦する。

コメント

  1. 名無し より:

    えらい

  2. 名無し より:

    つくづく久保は旗手よりも恵まれた経歴にある

  3. 名無し より:

    旗手の成長は無限大だ

  4. 名無し より:

    マカリスター、コリンズが大好きだったおれには久しぶりにできたお気に入りのスコットランド代表の線種だよ。キャプテンシーもあってスコットランドの選手にしてはテクニカル。ええ選手だわ。

  5. 名無し より:

    いい記事だ。
    ファンの声援と、チームの伝統、選手の息吹が感じられる。
    スコティッシュプレミアは、決してインクランドプレミアの下部リーグではない。

  6. 名無し より:

    素晴らしいね

  7. 名無し より:

    頑張ってんな旗手
    元気が出るよ

  8. 名無し より:

    英語がスコティッシュ訛りになってそう

  9. 名無し より:

    これは海外に出ないと日本では向上しない面だろうか
    失敗して帰ってくる日本人選手って結局こういうところなんだろうか

  10. 名無し より:

    >>9
    乾のようにへらへらして理解もままならずにやり過ごしたり流すってので何とかなる場合もあれば、井手口のように喋れないだけで放出が決まったり、監督や選手との環境下としかいいようがないんじゃ?失敗して帰ってきた人でもその部分でがつがつやってもだめだった人だっているだろうからね。

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