
中断前の調子がそのまま反映されるかは、ここからの数試合の内容と結果で見えてくるだろう。
原口元気が所属するウニオン・ベルリンはホッフェンハイムに3-1と逆転勝利し、順位を3位へ上げている。中断する前の数試合はUEFAヨーロッパリーグ(EL)やドイツカップとの過密日程の影響もあり、持ち味だったインテンシティーの高さや激しい守備が影を潜めてしまっていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3c73e68b6ec03edae19035a7ddcddede281a4a0b
「後半みたいな試合が毎週できればね、また上位に食い込んでいける」

ホッフェンハイム戦でスタメン出場した原口は、そのあたりについて次のように語っていた。
「2か月ぐらい試合(期間)が空いたなかで、変なリスクを冒すより最初の入りは(セーフティーファースト)という感じだった。ただ逆にそのせいで相手にリズムを掴まれたかなっていうのはちょっとあった。簡単に蹴りすぎたし、ボールを渡しすぎていた。もう少し最初から自分たちがこの2か月間練習してきたことをやったほうが良かったのかな、とちょっと思いました」
守備陣でボールを持って攻撃の起点を作ろうとする時、原口はいつでもパスを受けられるようにポジショニングに気を配っている。相手がダブルボランチなので、その脇にできたスペースに顔を出して、ボールを前に運ぶためのきっかけを作るプレーも見せていた。
ペナルティーエリアに入る頻度も多い。15分には敵陣右サイドでボールをカットして味方へパスを渡すと、するするとペナルティーエリア内まで走っていく。左サイドからのクロスは飛び込んだ原口の頭上を越えたが、この動きに相手DFが引っ張られた。うしろのスペースからクリストファー・トリンメルがフリーでヘディングシュート。得点とはならなかったが、味方のシュートチャンスを生み出したいい動きだった。
動きはいい。だからもっとボールが欲しい。もっとできるから、もっと生み出せるから。
「もうちょい(ボールを)くれないと困るなっていうのは正直あって。僕的には、ボランチの位置まで下がってたりもしたんだけど、チームとしてそれを求められてない。CF(センターフォワード)にボールが入った時にどれだけ助けられるかっていうのを言われていた」
CFがボールを収める、あるいは味方の攻撃を引き出せるのであれば、そうした戦い方にもメリットはある。ただ、相手だってそうしたウニオンの狙いは分かっている。セカンドボールへのポジショニングに気を配るのは相手も同じだ。どれだけ放り込んでもそこからチャンスにつながっていかず、逆に前半終了間際には相手の右サイドからの突破を抑えることができず、相手のトーゴ代表FWイーラス・ベブに先制ゴールを許してしまう。
そんなウニオンが後半は吹っ切れたのか、相手をどんどん前から抑え込んでいくプレーが増えた。ホッフェンハイムはボールを逃がすことができず、クリアボールを相手に拾われ、自陣に押し込まれる時間帯が増えていく。
ウニオンのウルス・フィッシャー監督は試合後の記者会見で、「相手の前で足を止めるな。そのまま向かっていけ」という話をしたことを明かしていたが、確かにチームとしての矢印が揃った時のウニオンの勢いは凄い。相手を飲み込んでいく。
後半18分に交代するまで精力的な動きを続け、後半早々に鋭いドリブルからのパスで味方のシュートを引き出すなど、後半は何度もチャンスに絡んでいた原口も、そこには全面的に同意する。
「すべてをトランジション(切り替え)で解決してくるというか、強度で解決した部分はあるかなと思う。それが僕らの一番の強みであるんで。後半、相手に何もさせないようなプレッシャーのかけ方とかはウチららしいなというか。後半もズルズルいかないところがウチらの強さかなと」
このスタジアムには選手の力を最大限に引き出してくれるファンの声援がある。ホームなら自分たちは最後の最後で試合をひっくり返せると誰もが信じてプレーができる。そしてそれが頻繁に起こるのがウニオンだ。
「こういう試合が日常的に起きるので、このスタジアムだと。なかなかないじゃないですか、こういうパワーのあるゲームって。ホームではこういう勝ち方ができるんですけど、アウェーでやられているんで、次が大事ですね。ホームのサポーターの力を借りつつ、後半みたいな試合が毎週できればね、また上位に食い込んでいけるかなって」