「記者のポリシーがありますよね?」上田綺世がフェイエノールト入団会見でまさかの逆質問! 滲み出た“動き出しの極意”への矜持

海外日本人選手

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上田綺世のフェイエノールト入団記者会見が現地8月7日、スタディオン・フェイエノールトで行なわれた。過去に小野伸二(現・札幌)、宮市亮(現・横浜)も所属したオランダの名門で、日本人がプレーする意義はなんなのか――と、オランダ人レポーターが訊いた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7bc3df82b1f1f4d6c27d35f77f7698a3e9d632b5

フェイエノールトの入団会見に臨んだ上田

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「フェイエノールトは歴史があります。ヨーロッパのビッグクラブでプレーすることは日本人の夢のひとつでもある。そこでプレーすることは、選手として大きな価値があると思います」

歴史、ビッグクラブ、チャンピオンズリーグといったことに加えて「熱心に、継続的に僕のことを求めてくれたこと」がフェイエノールト移籍の決め手になったという。

オランダのメディアは微に入り細に入り、セルクル・ブルージュ時代の上田のことを分析している。その得点力、DFライン背後への飛び出し、勤勉なプレッシングと強度の高さに「プレッシングサッカーを標榜するアルネ・スロット監督にとって理想のストライカー」と解説する動画も配信されている。

「僕が守備的な選手だという自覚はない。でもセルクル・ブルージュがそういうサッカーをしていて、そこを評価してもらえたのはヨーロッパに来て成長したところだと思います」

会見で上田は「ヘディングが武器」と話していた。欧州のストライカーとして182センチという高さはやや小さい部類。それでも昨シーズン、助走なしのスタンディングジャンプでCBに難なく競り勝ち、地面に叩きつけるヘディングシュートでゴールネットを揺らしたシーンは「えげつない」の一言だった。

彼の武器はもうひとつ、DFライン背後への動き出しだ。日本で彼のプレーを見てきた者にとっては当然のことだろう。今ならセルクル・ブルージュのチームメイトも納得しているはずだ。

しかし1年前、ベルギーに来た頃は、セルクル・ブルージュの仲間たちに“動き出し”という武器を理解してもらえず、「ここぞ!」のタイミングでパスを受けることができなかった。チームミーティングで監督が映像を見せながら「ここで綺世にパスを出せば、GKと1対1じゃないか」と助け舟を出し、徐々に仲間とオートマティズムを作り上げていきながら、いつしか上田はベルギーリーグ屈指のストライカーへと進化を遂げた。

「自分の特徴を見せていかないと、(フェイエノールトで)どういう選手なのかというのを理解してもらえない。“動き出し”って、なかなか表現しづらいですけれど、それを繰り返して継続していく。セルクルでもそういうような作業をしていたんです」

セルクル・ブルージュ時代、求めてきたボールのないところでのプレー。その作業をフェイエノールトでも繰り返すことになるのでは?

「求めていかないといけないと思います。それはフェイエノールトでなくても、どの環境でも一番大事にしているところなんで。仮にそれが求められるサッカーでなくても、動き出しが自分のスタイルなので、浸透させていく作業は絶対にどこに行ってもしないといけないと思います」

幸いセルクル・ブルージュではその作業が実ったが、動き出しというスタイルをチームに浸透させていく作業は周囲の理解に時間がかかり、本人も苦しい思いをしたのではないだろうか。

「僕にはあまり『苦しい』という感覚はないです。仮にボールが来なくても続けないといけない。点を取る手段として本質を考えると、僕は『動き出し』が大部分を占めていると思うので、(動き出しへの理解させる作業を)継続するというのは別に難しいことではない」

「これでいいのかなあ」と気持ちがブレたりしないものなのか。そう問うと上田から「ブレる⁉ 例えば記者としてポリシーを持って仕事をされていますよね?」と逆質問が来た。私は「はい」と答える。

「環境が変わっても、常に自分のやり方でやり続けるじゃないですか」

――でも時代は変わっていくので「これでいいのかな」という悩みはあるんです。

「しかし付け焼き刃で記事を書いても、自分でなくても良くなってしまう」

――極端な話、AIでも書けるかもしれません。

「それもそうですし、今から『今どきの記者』のスタイルに変えたところで、『今どきの方法』でずっとやってきた人には及ばない…とは言いませんが、自分の戦う土俵ではなくなるじゃないですか。僕にとって(『動き出し』への理解を止めることは)それと同じようなこと。僕が動き出しを(ボールが)来ないから止めたら、武器を自分で一個捨てることになる。自分の得意なところを常にやり続けるだけ。それが選手の価値だと思う。どこに行ってもそうしないと僕が活躍する方法はないと思う。それしかない」

動き出しというプレーには、足技のような一瞬のうちに誰をも魅了する分かりやすさはない。それでも目に見えにくいその武器を、新天地で上田は繰り返し求めていく。

コメント

  1. 名無し より:

    オランダ取材の第一人者な中田徹さんの記事なのに
    「オランダ人レポーターが訊いた」って冒頭に書かれてて混乱する

  2. 名無し より:

    へーこんなに頭のいい選手なのか
    ヨーロッパで成功する条件に適っているね。がんばれ

  3. 名無し より:

    控えって名言されてたけど覆してくれや

  4. 名無し より:

    佐藤寿人の話を思い出したわ。海外、それも毎回違う国でやるのはとんでもなく大変だろうが、頑張ってくれ
    DAZNなら観れるんだけどなぁ。エールはHuluなんだよな…

  5. 名無し より:

    上田は聡明で芯の強さがあるから好きな選手

  6. 名無し より:

    記者の質問に若干イラついてて草

  7. 名無し より:

    ブレるわけないじゃん
    その武器で大学生ながら日本代表に選ばれてコパアメリカのメンバーになってるし、プロになってるし、海外へ行けたし、得点王争いも経てフェイエノールトにクラブレコードの金額で来たんだから

  8. 名無し より:

    記者が上手いのか上田が頭いいのか、これは面白い記事だな

  9. 名無し より:

    名門だと苦労するぞ。一筋縄に調教されてくれないからな。だから、中位くらいの苦労してるクラブの方が良かった。弱いところなら上田の武器はクラブにとっての武器になる。でも、強いところなら上田の武器を浸透させなくても同等の武器をすでに備えている。

  10. 名無し より:

    ※9
    海外挑戦スタートクラブならわかるが今の上田ならクラブの強さとリーグレベル的にまっとうなステップアップだと思うけどね。

  11. 名無し より:

    これも上田のエゴであるから
    ストライカーとして勝ち残ってさらに上へいってほしいと願うわ

  12. 名無し より:

    自分の武器で勝負する事はコパ時代から言っててポリシーなんだろうなって感じてええわ。
    「よく言えば、この環境で、これだけチャンスを作って、自分のストロングポイントで勝負すること、客観的に見たチャンスもあった。このタイミングで(コパ・アメリカに)出て、自分の力不足を知れたことはよかった」
    コパのガチ勝負の時にあれだけ動き出しでチャンス作って、シュートを外すってのを6回も繰り返してこの発言できる信念は凄い。たしかにコパでシュート打てる状態にもってける大学生って尋常じゃないんだろうけど。

  13. 名無し より:

    人使うのも使われるのも両方いけるから周りのレベルが高いほど結果よくなりそうだな
    どんな選手かセルクルのプレー見て獲得してるわけだし

  14. 名無し より:

    何でもいいから取れっていわれるのが大半。
    チームに恵まれるかどうかやな。

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