なぜ19歳の福田師王が独ボルシアMGでトップチーム昇格の大抜擢を受けたのか?

海外日本人選手

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独ブンデスリーガ1部のボルシアMGは16日、クラブ公式X(旧ツイッター)を更新し、セカンドチームでプレーしてきたU-23日本代表FW福田師王(19)のトップチーム昇格を発表した。冬の移籍市場でFW陣が手薄になった状況で、5ゴールを決めている福田に白羽の矢が立てられたもの。神村学園高(鹿児島)から昨年1月に加入した福田へ、スポーツディレクターのニルス・シュマトケ氏は、クラブ公式HPで「これまでの活躍に対するご褒美だ」と抜擢理由を語った。

https://news.yahoo.co.jp/articles/fe121a0c10877cb9a8742462ba6b266f7b306cee

高校卒業とともに、Jリーグを介さずにボルシアMGでの挑戦をスタートさせてからわずか1年。福田が実力でトップチーム昇格を手繰り寄せた。

日本時間の16日夜に更新されたボルシアMGのクラブ公式X。今月6日のトレーニングマッチでゴールを決め、日本代表DF板倉滉(26)と抱き合うカットを含めた写真を3枚投稿した上で、和訳すれば次のようになるドイツ語で福田の昇格を祝福した。

「シオ、よく頑張った!福田師王がプロの一員に」

ボルシアMGでは今冬の移籍市場で、ルクセンブルク代表FWイバンドロ・ボルジェス・サンチェス(19)が、オランダ1部のNECナイメヘンへ武者修行の形で期限付き移籍。手薄になったFW陣を補うために、下部組織から人選を進めていた。

そこで白羽の矢を立てられたのが福田だった。

全国高校サッカー選手権得点王の肩書きを引っさげ、神村学園から昨年1月にボルシアMG入りした福田はまずU-19チームに所属。デビュー戦となった同2月の地域カップ1回戦では、9部相当のチーム相手に8ゴールをマークするなどインパクトを残し、その後のU-19リーグでもコンスタントにゴールを積み重ねてきた。

今シーズンからはセカンドチームに昇格。4部リーグに相当するレギオナールリーガ西部で、13試合に出場して5ゴール1アシストをマークするとともに、前出のトレーニングマッチを含めて、トップチームの練習や実戦に参加した際も高い評価を受けてきた。

ボルシアMGは16日に、クラブ公式HP上にスポーツディレクター(SD)のシュマトケ氏のインタビューを掲載。福田の昇格を決めた理由をこう明かした。

「私たちは常に師王を見守ってきた。彼はここ数カ月、セカンドチームの試合でも、そしてトップチームのトレーニングに参加したときも、何度もその実力を発揮してきた。つい最近もトップチームの調整試合で、ピッチに投入されてからすぐに得点を決めた。才能ある若手選手がトップチームで通用するかどうかを見極めるのは、われわれにとって重要な仕事のひとつ。彼のトップチーム昇格は、これまでの活躍に対するご褒美だ」

ヨーロッパの5大リーグにおけるシーズン中の抜擢例として、2022-23シーズンのMF上月(こうづき)壮一郎(23、シャルケ)があげられる。

京都サンガF.C.からドイツ5部相当のチームをへて、2022年8月にシャルケ入りした上月は、セカンドチームで8ゴール5アシストの活躍を演じて同年12月にトップチームへ昇格。シャルケは最終的に2部へ降格したものの、上月は後半戦のブンデスリーガ1部で5試合に出場し、昨年1月のライプツィヒ戦では初ゴールも決めている。

所属はバイエルン・ミュンヘンⅡながら、サガン鳥栖出身のMF福井太智(19)も昨年9月のレバークーゼン戦でトップチームのベンチ入りを経験している。だが、これらはいずれもJクラブを経てのヨーロッパ挑戦であり、福田の軌跡は稀有と言っていい。

ゆえに昇格が発表された前出のXには、国内外から数多くのコメントが寄せられた。もちろんほぼすべてが、高校卒業とともに異国の地へ渡り、言葉も不自由な状況で、わずか1年でトップチームへ上り詰めた福田に対する期待で占められている。

「日本の未来のスター」

「板倉くんと共にトップチームでプレーする光景が見られるなんて」

「ワールドクラスのFWになってくれよ」

「ストライカーとして10代でここまで来たか!」

「正直、私たちの若い選手にこれほど興奮したことはない」

身長178cm体重70kgと決して大柄ではない福田は高校時代に、日本代表でゴールを量産した小兵FW岡崎慎司(37、シントトロイデン)のプレー映像を徹底的に研究。相手ゴール前での動き出しを磨き、右足、左足、頭とすべてでゴールを狙える異能の得点能力を身につけ、練習参加したボルシアMGからオファーを勝ち取った。

渡独後は走力を含めたフィジカルの差を何度も痛感させられ、特に臀部を中心とする下半身を一から鍛え直した。ドイツ語がまだ不得手な状況で、ミーティングではボードに自分が得意とする動き出しの形を書き記した上でパスを要求した。

身振り手振りで努力を積み重ねてきた成果を、福田はこう語ったことがある。

「最初は『ん?』みたいに言われたんですけど、一番効果があったのは試合で点を決めたこと。そうなればボールがたくさん出てくるようになりました」

今夏のパリ五輪出場を目指すU-22代表に初招集された、昨年11月のU-22アルゼンチン代表戦でも、途中出場からわずか2分後にゴールをゲット。数日間の代表合宿で裏への抜け出しなど、得意とする動きをチームメイトと共有した賜物だった。

ただ、シュマトケSDは公式HP上でこう語ってもいる。

「師王は少なくとも今シーズン終了までトップチームのメンバーとなり、チームのドレッシングルーム内に自分のロッカーも持つことになる」

ここから先は弱肉強食の世界。確固たる結果、福田の場合はゴールを決めれば生き残り、逆ならばサンチェスのように武者修行に出されかねない。サンチェスは今シーズンのブンデスリーガ前半戦で出場3試合、プレー時間わずか14分で無得点だった。

複数のJ1クラブも加わった争奪戦から、福田がボルシアMGを選んだ理由はただひとつ。Jリーグを介さずに渡欧した日本人選手が、ほとんど成功していないからだ。

「自分が成功例を作っていきたいし、成功しなければいけない」

挑戦者魂をたぎらせていた福田は、ついに本当の意味でのスタートラインに立った。

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今シーズンは残り17試合。ホームのボルシア・パークにアウクスブルクを迎える21日(日本時間22日)の後半戦初戦に臨む、20人の登録メンバー入りをかけた日々の練習から、発音の関係でサポーターから「シオ」と愛される福田の勝負が次なるステージに突入する。

コメント

  1. 名無し より:

    身長低めでも中々止められん様が似てるなと思ったらやっぱザキオカ参考にしてたのか
    セカンドチームじゃ師王より出場時間得てるデカいのが同ポジションにいた筈だが要所で結果出しての事なのかね

  2. 名無し より:

    良い記事だな
    福田選手が費やした努力は俺なんかには計り知れないけど、それでも伝わってくるものがあるわ

  3. 名無し より:

    福田師王は代表ウィークになると必ず練習試合で活躍したってニュース見たからな。最初はセカンドチームで徐々にトップチームの練習試合に参加が増えても活躍ってのが続いたから必然よな。パリ五輪楽しみ

  4. 名無し より:

    178㎝か。
    小さいな…

  5. 名無し より:

    >>4
    古橋も前田も浅野も細谷も、何なら岡崎もそれ以下だし別にいいんじゃね

  6. 名無し より:

    >>5
    遠藤航みたいに、身長で負けてても空中戦勝率が異様に高いヤツもいるしな。
    必要なのは見た目の大きさではなくて、実際に高さでマッチアップ相手を上回れるかどうかやわ。

  7. 名無し より:

    大迫と同じなら日本人としては小さくない

  8. 名無し より:

    >>7
    ??
    大迫塁とか?

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