
チームはここまで4分3敗と未勝利で、総得点は5得点。つまり、浅野とシュテーガーが2ゴールを挙げた以外にアントニー・ルジアが1点を決めただけ、というなかなかの寂しさだ。最下位は免れているものの16位と降格圏に沈んだまま、今季2度目のインターナショナルマッチウィークを迎えている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2258e54326a8af3bb0cd8466c14e991c55f79ba3
浅野拓磨は10月の日本代表戦でもゴールで主役になる?

「まぁ、ボーフムは間違いなくシーズン始まる前から残留争いするだろうな、というのは思っていました。チームとしてそんなに力があるわけではないと、僕も自負しています。
まずはひとりひとり、100パーセントで自分のやるべきことに集中して、ピッチで表現しようとしないと。当たり前ですけど(そうでないと)ブンデスのレベルで勝っていくことはできない。『自分たちはチャレンジャー』という精神が絶対に必要かなと思います」
昨季もギリギリで残留したボーフムにおいて、浅野は「今季も同じことになるだろう」と、はなから認めたうえで戦いを挑んでいるのだ。
ボーフムのトーマス・レッチ監督が基本的に採用しているのはオールコート──全ポジション、マンツーマンで相手を見る守備だ。めったに見ない戦術だ。
「日本人選手とプレーすると、いつも『ボーフム、やばいね』『ほんまに1対1だね』とみんな僕に言ってくるくらい、相当びっくりしているというか……。それだけ、こういうサッカーはそんなにないということだと思います」
浅野はそのレア度を説明する。
「ひとりがひとりを見る」ということは、対峙する相手にさえ負けなければいいという話ではあるが、一箇所やられてしまうと、そのあとすべてが崩れてしまうリスクも同時に抱えている。
「僕らも『ハマったらやれる』という自信はある。その経験もあるし、そこは間違いなく自信は持っていい。ですけど、うまくいっていないと感じた時にチームとしてどうするか、というのは必要かなと思います」
とはいえ、一箇所破られた場合の次の手があればいい話なのだが、マンツーマンにこだわるからなのか、どうにもうまくいかないのが今のボーフムだ。
「練習で監督が求めていることは全員やれていますし、それがハマった時のボーフムはすごいいいサッカーをする。これまでも、相手が強くても──バイエルン相手でもドルトムント相手でも、それがハマってしまうと僕らのサッカーができちゃうので。
そのイメージを100パーセント、持ってしまっているからこそ、それがハマらなかった時にどうするか。チームとしての選択肢がないのかなって」
かといって、それを考えるのは決して選手の役割ではない。
「海外というかサッカーって全世界そうかもわからないですけど、日本と比べてこっち(ドイツ)のサッカーは『監督の言うことをどう表現するか』が一番大事になってくる。戦術は監督、みたいなところがある」
まずはチームとしての方向性を指揮官に提示してもらわないと、選手は力を発揮しようがない。とはいえ話を聞くかぎり、浅野は現在のマンツーマン戦術に対して否定的ではなく、いかに前進させるかを示してほしいと思っているようだ。
いち選手としては八方塞がりにも思えるが、浅野は決してそんなこともないという。
「今シーズンの入りは悪くなかったかなと思っています。チームとしても個人的にも。みんな当たり前ですけど、監督に言われていることをやる。それが結果に出ないと自信を持てなくなるとか、監督を疑い始めるのは当たり前のこと。
僕はここで3年目ですけど、今年も含めて残留争いをするチームだと思っているので、今の状況は当たり前かなと。それに対してネガティブな気持ちはないです。去年も6節終了時で勝ち点ゼロだったので。それに比べたら今は勝ち点が3あるし(現時点は4)、去年は6試合目でケガしちゃったんですけどね」
思い起こせば、浅野は昨年9月に負傷し、11月下旬のワールドカップ本番まで1試合もプレーしないままカタール入り。直前の親善試合・カナダ戦で45分間プレーしただけで初戦のドイツ戦を迎えたのだった。
それに比べれば、チームとしては勝ち点もあり、両脚は万全。悪くはない状況だ。
「いい状況というか、全然、どうにでもなるっすね」
そう話す浅野は明るく、力強かった。
