
でも、残念ながら、森保ジャパンの強化にはならなかった印象だ。相手が期待外れだったからだ。
チュニジアは、4日前に韓国を相手に0-4で負けたせいなのか、わざわざアジアまで来て本調子でなかったからかは分からないけど、守備を過剰に重視した戦い方だった。“5バック”的なシステムで、攻撃に人数をかけないから、怖さがなかった。特に、前半は酷かった。
メンバーを入れ替えた後半は、多少変わったものの、シュートをほとんど打てなかった。ガンバ大阪のジェバリも、効果的な攻撃はできず、存在感を示せていなかったね。
https://news.yahoo.co.jp/articles/27475ca961b351bd005d482c427b800c541a6974
目線を向けたいのはアジア2次予選よりもアジア杯だ

ゴールキーパーの鈴木は、初キャップで完封という結果を残した。若いし今後に期待したいけど、この試合だけで高く評価することはできないよ。
攻撃陣では、古橋は見事に得点を決めたけど、前半のみで交代になった。後半の頭から入った上田は、結果を残せなかった。絶対的なフォワードがいないのは、森保ジャパンの課題の一つだろう。
2点目を決めた伊東は、いつもの調子ではないように見えた。本来であればもっと良いプレーができるはずだ。
久保は、クラブでは素晴らしいプレーを連発し、レギュラーで活躍している。ただ、代表ではポジションをまだ探している状態だ。右サイドには伊東、左には三笘、真ん中に鎌田がいるからね。
今回も質の高いプレーは見せたし、伊東へのアシストを含めて2得点に絡んだ。ただ、4試合で4得点を挙げている中村の台頭も含めて、アタッカー陣との争いを考えると、ゴールという結果が欲しかった。堂安もいるし、まだ先発の座は確保できていないだろう。
マン・オブ・ザ・マッチは、守田だ。攻撃の起点になって上手く周りを活かしていたし、個人技での突破も見せていた。ボランチだけど、トップ下のような役割を果たしていたね。良さが目立っていたよ。
10月シリーズを終えて、今回の2連戦に海外組を呼ぶ必要性があったのかが疑問になった。特に、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグを戦っているチームは過密日程だし、コンディション不良で来られなかった選手もいた。
出場できた選手も、相手のレベルの低さから負担の小さかった守備陣はともかく、攻撃陣の伊東や久保からは疲労が感じられた。
カナダもチュニジアも、世界のトップクラスとは、ほど遠かった。そのことからも、もっと国内組にチャンスを与えても良かったのではないか。
強化の観点からも、物足りなかった。日本の悲願であるワールドカップでのベスト8以上を実現するためには、決勝トーナメントで当たるような相手との試合をしないと意味がない。10月シリーズは、ワールドカップのアジア2次予選の参考にはなったかもしれないけど、それ以上ではなかった。
日本は6連勝したけど、勝った相手で強豪国はドイツだけ。強くない相手からいくら白星を挙げても、強化にはならない。3月シリーズでは、ウルグアイに1-1、コロンビアに1-2と、南米の強豪国に勝てなかった。カタール大会では、ドイツとスペインを連破しても、ベスト16で敗退した。その点を忘れずに、ワールドカップのための強化につながるような試合を組んでもらいたい。
11月には2026年の北中米ワールドカップのアジア2次予選が始まる。レベル的に、日本が圧勝するはずだ。今回の6連勝と合わせて、来月の2戦とも完勝したところで、強くなったと錯覚するのは怖いし、日本にとって望ましくない。
目を向けたいのは、来年1月のアジアカップだ。最近のワールドカップの最終予選では、アジアを2組に分けたうえで、上位2か国に入れば突破できた。次回は枠が拡大されて“8.5”になる。そんななかで、アジアカップは優勝だけが目標になる勝負の大会だ。
韓国、イラン、サウジアラビア、オーストラリアなどの国が、ライバル意識をむき出しにして、プライドをかけて命がけで挑んでくる。日本は最近の2大会で優勝できていなくて、森保監督も前回大会で準優勝に終わり、頂点を逃している。
ドイツに勝っても、アジアで負けては意味がないよね。そんな厳しい目が向けられるなかで日本がどんな戦いを見せるか、今から楽しみだ。
