前田のオランダリーグデビューはウインターブレーク明け、アヤックスとのホームゲームだった。40キロほどの距離にあるアヤックスをユトレヒトは目の敵にしており、その一戦を彼らは『マッチ・オブ・ザ・イヤー』と言うが、怨念が込もったような異様な盛り上がりを見せる。そんな大事な一戦で、前田は先発に抜擢された。
しかし、キックオフから間もなく、ライン際でリサンドロ・マルティネス(現マンチェスター・ユナイテッド)の強烈なタックルを受けて、11分に負傷退場。その後、テレビ中継で、病院に運ばれたことがアナウンスされた。当時のことを前田はこう振り返る。
「『ついにこの舞台に来たか』と。しかも相手はアヤックスというところで、いつも以上に力が入っちゃって……。日本でプレーしていたときだったら、よけるタイミングだったんですが、力が入っていたということでボールに夢中になっていた結果が、ああいう苦しい怪我になってしまいました。その瞬間はアドレナリンも出ていたし、『まだ(プレーを)やりたい』という気持ちのほうが強かった。で、足をついてみたんですが全然力が入らず、自分の足首を見たら全く真逆を向いていたので、『ああ、無理だな』と思いました」
https://news.yahoo.co.jp/articles/0663f63ec0398add8879bedbadd2644b9b141161
リザーブチームでのゴールが再契約につながる
代理人は「もし直輝が夢を諦めてないのだったら、“必ず”とは約束できないけれど、俺もできる限りのことをするから一緒にもう少しオランダで頑張ってみよう」と励ましてくれた。その「夢」とはチャンピオンズリーグでプレーすることだ。
「そこに少しでも可能性があるのであれば、ヨーロッパでプレーしたいという思いが強かった」
ザウダムTDは「(再契約を)前向きに考えている」と言っていた。前田は「その言葉を信じてアピールするだけだ」と覚悟を決めて、オランダに残り続けた。
8月22日、前田はヨング・ユトレヒト(リザーブチーム)のメンバーに混じり、エクセルシオールとの練習試合に45分間出場し、1ゴールを決めた。SNSで「あ、前田がユトレヒトの試合に出てゴールを決めてる!」と話題になったこのゴールは、契約延長につながる貴重なものだった。
「『45分間プレーするぞ』と言われたんですが、その試合のあった週は、僕のなかで全然身体ができてなかった。でも『移籍市場が8月31日までと決まっているから、その前に試合で見たい』ということで『わかりました。やります』と。だから結果を出さないといけなかった。正直、練習参加して2週間か3週間と間もなかったので、“感覚が全然戻ってないけれど大丈夫かな”というところと、“楽しみたいな”というところがあった。でも楽しさのほうが勝って、ゴールも獲れてまずは一安心した。あとは結果を待つだけという状態でした」
結果は吉。前田はユトレヒトとの再契約を勝ち取った。まだ今季の出場機会はないものの、9月2日のフォルトゥナ・シッタルト戦、11日のフィテッセ戦と前田はベンチ入りしている。
「やっとスタートラインに立てたなという感じです」
前田との勝負を楽しみにしている日本人SBがいる。AZの菅原由勢だ。昨年末、菅原は名古屋の先輩のことをこう語っていた。
「ドリブルはすごい。2人ともベンチ外ということが結構あったんですが、2人で1対1をずっとやっていて全く止められませんでした。そこから(前田が)化けるかのように結果を残しました。今は活躍しまくりなので、楽しみです。早く一緒に勝負したいですね」
菅原との1対1を、前田もよく覚えていた。
「僕は名古屋の時に3、4試合ベンチ外が続いたときがあったんですよ。そのときに由勢と1対1をした。彼はディフェンダー、僕はアタッカーということで、10本やってどっちが勝つか勝負をよくやってました。僕はその年『ランクル賞』を獲ったんです。由勢のおかげですね(笑)」
『ランクル賞』とは名古屋グランパスのシーズン最優秀選手に対して与えられる「愛知トヨタ『グランパスランクル賞』」のこと。前田は2019年度の受賞者だ。
先週、菅原は前田のユトレヒト再入団について、このように語っていた。
「本人もヨーロッパでやるのが夢と言っていたなかで、自らこの契約を勝ち取ったのは、絶やさぬ努力をずっとしていたから。海外で、特にオランダで日本人が契約するというのはいろいろな障害があって簡単ではないということは僕自身すごく分かっている。だから、本当に本人、周りの方、皆さんの努力が報われたと思う。僕としても、やっと試合ができるので楽しみですね」
コメント
頑張れよまじめに応援してる
削ったのリサンドロマルティネスだったんだ
あれは不運だったとしか言い様がなかったもんな
頑張って欲しい
尊敬するわ
こんな記事を載せながら喧嘩をうるサカダイw