「守備範囲が本当に広い」守田英正がトッテナム戦で感じたプレミアトップ選手の“違い”

海外日本人選手

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今夏からポルトガルのビッグ3でプレーする守田正英が存在感を示した。

トッテナムとのチャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ第5節(1-1)で、守田は3-4-3のセントラルMFとして先発出場。ハリー・ケインやソン・フンミンらワールドクラスを擁する難敵を相手に中盤中央で守備に走りながら、ポゼッション時には前線まで押し上げて攻撃に奥行きを与えた。62分にふくらはぎに違和感を覚えて途中交代となったが、スポルティングの背番号5はトッテナム戦で非常に目を引く存在だった。

イングランドに拠点を置く筆者は、今回の試合で初めて守田を取材した。スポルティングのホームで行なわれたグループリーグ第2節のトッテナム戦(2-0)はテレビ観戦となったが、その際に強く感じたのは守田のポジショニングの良さだった。決して派手さはない。

だが相手にとっては嫌なところ、嫌なところに顔を出し、特に守備でしぶとく仕事をしていた。そのイメージは舞台をトッテナムの本拠地に移した今回の試合でも変わらず、スポルティングにとって攻守のキーマンであるとの印象を改めて抱いた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3e7c31353f18c2961f9654a7fbd356e5be5ea723

トッテナムについて、守田はどんな印象を持ったのか

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スポルティングの基本フォーメーションは「3-4-3」。相手ボール時になるとウイングバックが最終ラインに入り、「5-2-3」に変形する。守田のポジションは、基本形の「3-4-3」でも守備時の「5-2-3」でも変わることなく、中盤中央のセントラルMFのままだ。

特に守備時は最終ライン手前のバイタルエリアから決して離れず、相手に寄せに行ったり、インターセプトを狙ったりして、DFライン前の防波堤として機能した。

効果的だったのは、攻撃時におけるポジション取りだ。日本代表MFは比較的自由にプレーし、前方にスペースがあれば中盤高い位置までポジションを押し上げたり、サイドの高い位置にスペースを見つけるとタッチライン際まで開いたりと、幅広くフィールドを駆け回った。6番タイプの守備的MFというより、8番タイプのインサイドハーフのイメージに近い。

面白いのは、こうしたポジション取りがスポルティングにとって攻撃のアクセントになっていた点だ。中盤中央のエリアから守田が飛び出していくことで、攻撃の奥行きがぐっと広がったのである。

指揮官が普段の練習から落とし込んでいることなのか。あるいは、自主的に考えてやっていることなのか。質問をぶつけてみると、守田は次のように話した。

「ある程度、動き方とかタイミングというのはチーム全体で共有している部分はある。最後のプレーの選択としてのポジション取りは、僕に任せてもらっているところがあるので。

最終的には自分の判断だと思うんですけど、流れの中でチームのどの選手がどこに動くかというのは、ある程度は予め分かっている。それに合わせて流れの中で動いてるというのがベースかと思います」

そして守田は戦術の大きな枠組みの中で、ある程度自由にプレーすることが認められ、自分の判断で前方に飛び出したり、サイドに開いたりしていたのである。たしかに44分には味方のバックパスを機に、突然サイドの高い位置までポジションを押し上げた。チームのパスワークを2歩も3歩も先を読んでいるからこそのランであり、ルベン・アモリム監督が「モリタはクレバー」と評価する理由でもあるだろう。

アモリム監督は37歳とまだ若いが、スティーブン・ジェラードを解任したアストン・ビラの後任候補として名前が挙がるなど、欧州では注目度が高まっている。チーム全体が良く鍛錬されているスポルティングのサッカーを目の当たりにし、守田は非常に良いチームに入ったなと、そんな感想を抱いた。

では対戦相手のトッテナムについて、守田はどんな印象を持ったのか。トッテナムには先述のイングランド代表FWケインや韓国代表FWソン・フンミンのほか、デンマーク代表MFピエール=エミル・ホイビェアやクロアチア代表MFイバン・ペリシッチ、アルゼンチン代表DFクリスティアン・ロメロといったカタール・ワールドカップ(W杯)に出場する各国代表の選手が揃う。「やっぱり強くて、速いなと思いました」と語った上で、MFならでの見解を示した。

「1人1人の守備で言えば、守備範囲が本当に広い。そうなると、チーム全体として守れる範囲が当然広くなる。おかげで、周りの選手があまり守備になりすぎないというか……。体力を温存できることにも繋がってくるので、カバー範囲の広さは感じました。

あとはフィジカルのところ。競り合いやセカンドボールひとつとっても、そこで勝つかどうかで試合展開がすごく変わってくるので。僕はボランチとしてそういうところをすごく求められている。その強度や1人1人の守備範囲などは、もっと追求していかないといけないと思っています。

プレミアのトッププレーヤーとやれるというのは、プレミアのレベルや強度を知る意味で大事なこと。そういう意味ではすごく良い経験になったなと思います」

今回のトッテナム戦で、守田がド派手な活躍をしたわけではない。良い位置にポジションを取ってもパスが入らないシーンはあった。本人としてもふくらはぎの違和感で大事をとって交代し、不完全燃焼の気持ちは少なからずあっただろう。

だが、その仕事ぶりは攻守両面で非常に効果的だった。カタールW杯を戦う日本代表にとって27歳のハードワーカーは極めて大きな力になると、そう確信した。

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次戦、スポルティングはリーグ戦でアロウカと対戦後、2日にはCLでフランクフルトをホームに迎える。

コメント

  1. 名無し より:

    筋肉疲労かな。次休めば回復するだろうね。

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