
1年半のベンチ生活から、今季ポルトガル1部で正GKの座を勝ち取った中村航輔のインタビュー。2018年ロシアW杯で「次は期待している」と次世代を担う存在と思われた中村。結果的にカタールには行けなかったが、日本代表へどんな思いを持っているのだろうか?
https://news.yahoo.co.jp/articles/d5a0db72a5ca3b89784b42cda07189ffc6a006ef
「三笘選手のニュースを見て、すごいなと」

中村航輔(以下、中村) もちろん持ち続けています。ただ、現状では日本代表を語れる立場にいません。それははっきり自分で思っていますし、そう言い切ってもいいのかなと思います。2021年から選ばれていないというのもありますし、いまは正直本当に分からない。もちろん代表でプレーしたいとは思いますし、その思いの強さをどうやって自分が表現していくかですね。クラブで続けていくだけです。
―カタールワールドカップは見ていましたか?
中村 もちろん見てましたし、日本代表は素晴らしかったと思います。僕は外の立場でしたが、あのときの日本代表が抱えていたものははかり知れないくらい大きかったと思う。監督、選手、スタッフ、協会関係者、サポーターが一体となって、すごかったですね本当に。ポルティモネンセのロッカールームでも言われましたよ。「ジャパンはすごいな!」と。日本人であることが誇らしかったです。
―大会後、三笘薫や久保建英のように、所属クラブでさらなる活躍をみせる選手も出てきています。
中村 三笘選手のブライトンでの連続ゴールのニュースを見て、すごいなと。左サイドから中に入って巻いて決めたシュートがありましたが、あれはGKから見たら止めにくい(※1月21日レスター戦)。あのボールに対しての抵抗の仕方はいくつかあって、それに対してどういう選択をするのか。実際、あの短時間で判断なんかできないので、いかに体をうまく動かすかです。他のGK(ウェールズ代表のウォード)が食らった失点ですけど、あのGKはいつかの僕であって、未来の僕でもある。そういう風に経験値をひろっていけたらいいですね。
―ワールドカップのドイツ戦では権田修一選手がマン・オブ・ザ・マッチに選出されるなど、GKの活躍も目立ちました。
中村 力を発揮しなければ勝てない相手を前にしてチームに貢献していましたし、権田さんが力を示した大会だったと思います。権田さんもGKらしいGKですし、やはりシュートを止める所にとても強い印象がありますね。
―ベスト16のクロアチア戦はPK戦での決着でした。
中村 かなり難しいシチュエーションで、結果的に相手のGK(リバコビッチ)が3本止めて上に上がったのを見ると、相手のGKから学ぶ、簡単ではないですけど自分たちの中で消化していく作業も必要だと思います。
―年齢的に見て、日本代表のGKは他のポジションの選手よりも世代交代が進んでいないとも言われます。
中村 そこは関係ないと思います。20歳の3人のグループでも、40歳の3人でもいい。そこは年齢ではなく、結果で決められると。
―現日本代表のGKでは川島とシュミットが欧州1部でプレーしており、以前よりその数は増えてはいるものの、相対的に見るとその数はまだ少ない。実際にやってみて、その難しさはどこにある?
中村 GKは難しいと思います。まず体格で劣ること。そして第一言語ではないこと(※ポルティモネンセ内の公用語はポルトガル語)。
―どのポジションよりも言語が必要とされる。
中村 言語は欠かせないです。指示だったり。留学していればよかったなとも思います。後悔している部分ですね。若いうちに言葉をやっておけば、と。日本にいるときも簡単な言葉を使うように心がけていたから、そんなに大きく離れているとは思いませんが、今も苦労はしています。最終ラインとの一体感を作る上でも必要ですし。あとは結果ですね。口だけよりも、結果。めちゃくちゃ話せても止められなかったら信頼は積み重ならない。信頼を積み重ねるのに手っ取り早いのは、ピッチで結果をだすことです。
―欧州で戦う上で、前提としてGKはハードルが違う。
中村 ただ、それを乗り越えたときには素晴らしいものがある。それは自分も身にしみて分かっているので、難しく大変ですけど、それもいいのかなと。自分自身、乗り越えた部分もあって、それは自信にはなっていますが、ただもうそんなことを言っている場合じゃない。過ぎたことですし、目の前の試合にむかっています。
―今後、欧州で日本人GKが活躍するためには何が必要だと思いますか?
中村 若いうち、育成の段階からこちらに来ることかなと。ベンフィカの(小久保玲央)ブライアンのケースが増えるのが一番いいと思います。簡単にできることではないですし、ブライアンがベンフィカに行ったときも僕はレイソルなので難しさは分かってますが。でもあの形が理想形かな。なんといってもベンフィカにいますから。今後、ブライアンがどう進むか分かりませんが、理想に近いのかなと。何年か後に分かることですが。彼は話すと面白いですよ。
―今後についてはどんなキャリアを描いていますか?
中村 もちろん、ポルトガルから欧州カップ戦に出るようなクラブに移籍した選手も見ていますから、そういう選手に続きたいという思いもあります。でも今はポルティモネンセにフォーカスしてやりたい。5年前の自分は、5年後にここにいるとはまったく想像できなかったですから。ロシアワールドカップに行ったときも、次のカタール大会もいけるのかなと思ったりした。でも、叶わなかった。いろんな場面に対応していくだけです。
―カタール大会に出られなかったことは、もう消化できている?
中村 そういう出来事だったのだなと。クラブで試合に出てなかったのが、大きな、当たり前の理由です。今は試合に出られていますが、これが簡単に続くなんて思っていません。ここからどういう出来事が起こるか分からないし、それが人生なのかなと。
―3年半後のワールドカップを目指す上で、これからの日本代表のGKに必要とされるものは何だと考えていますか?
中村 4年前にも、次は期待していると言われていたけどカタール大会には出ていませんし、誰にも未来なんて分からない。ただ、チャンピオンズリーグのような欧州の大きな大会に出るGKが出てくることが理想ですよね。僕だけじゃなく、いつか日本人GKがあの舞台に出ることができたら、それは快挙だと思います。
