「ナカイのトップ昇格は難しい」今季2試合で5分…中井卓大の“リアルな評価”をマドリー番記者に訊いた「有力なのは日本帰還だ」 | footcalcio

「ナカイのトップ昇格は難しい」今季2試合で5分…中井卓大の“リアルな評価”をマドリー番記者に訊いた「有力なのは日本帰還だ」

海外日本人選手

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タクヒロ・ナカイ(中井卓大)は、2014年にレアル・マドリーのカンテラ(下部組織)に加入して以来、最悪の時期を過ごしているのではないだろうか。

昨夏にフベニールAを卒業した彼は、重要な岐路に立たされていた。マドリーでは年齢別カテゴリー最上位のフベニールAからカスティージャ(レアル・マドリーB)への昇格時に、多くの選手がふるいにかけられる。

昨年2月に2025年まで契約を延長していたナカイには2つの選択肢があった。カスティージャに昇格するか、来シーズンからレアル・マドリーのサードチーム、マドリーCとして生まれ変わるRSCインテルナシオナルでプレーするかのどちらかだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f64a145a37d353e256f3999977549d0fa05d954d

出番が少ないなかでも腐らずに練習を続ける中井の姿勢は評価されている

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カスティージャは、スペイン3部にあたるプリメーラRFEF、RSCは同5部にあたるテルセーラRFEFに所属する。レベルの差は小さくはなく、ナカイはカンテラの責任者から現役時代にマジョルカやエスパニョールなどで活躍したルイス・ガルシアが率いる後者のほうが実力的にマッチすると助言を受けていた。

しかし、ナカイはあえて大海に飛び込むことを選んだ。同じ攻撃的なポジションには、自分よりレベルの高い選手がひしめき合い、チャンスが限られることを分かっていながら、カスティージャに昇格することを決断した。開幕以来、チーム内のヒエラルキーではナカイよりも上位に立っていたブルーノ・イグレシアスが、1月に出場機会を求めてRSCに移籍(今シーズンはマドリーとは別のチーム扱い。所属選手の大半がマドリーからのレンタル組)したことを見ても、その競争の激しさは明らかだ。

今シーズンここまでのナカイのプレータイムは、2試合で5分にとどまる。ラウール・ゴンサレス監督の戦力構想に入ることができていないのは否定のしようがない数字だ。カスティージャは2部昇格を目ざして戦っている。球際やフィジカルの強さを備えていないと通用しないステージであり、その点においてまだまだ対応できていないナカイは居場所を失う結果となっている。

ナカイが素晴らしいのは、この状況でも腐ることなく黙々と練習に励んでいる点で、その姿勢は周囲からも評価されている。しかし同時にカスティージャはトップチームへの登竜門的な位置づけにある。

責任者は決断を下さなければならない中、一つの結論に達した。それはナカイが現状ではマドリーのトップチームでプレーするのは難しいということだ。トラブルとは無縁の優等生で、誰からも愛されている。チームに居続けていることを問題視されているわけではない。しかしそれとクラブの方針とは別である。

今後の将来を予想すると、有力なのは日本帰還だ。実際、Jリーグの複数クラブからアプローチを受けており、マドリーも長期展望を描くことができない選手の移籍に反対する理由はない。ナカイが希望すれば、容認する考えだ。

マドリーが主張することがあるとすればせいぜい将来的な他のクラブへの移籍を見越して50%の保有権を保持する程度で、形態は契約を解除してフリートランスファー、移籍金が発生した場合でも活躍に応じた出来高払いになりそうだ。

スペインに残る選択肢もあるが、プリメーラRFEFはカスティージャ以外のチームもレベルは高い。セグンダRFEF(スペイン4部に相当)のほうが現実的なオプションで、この選択をするのであれば、下部リーグから這い上がっていくという強い覚悟が求められる。

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Jリーグで活躍すれば、日本代表の一員としてプレーするという夢にも近づく。ナカイは再び重要な岐路に立たされている。
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