
明るい雰囲気とよく通る声で次々に新しいメニューを指揮していく。特にユニークだったのは、スローインされたボールを失わないでつなぐトレーニング。スロアーにボールパーソンがボールを渡す状況も想定しながら、狭いフィールドの中で相手選手役の妨害を受けつつパスを7本つなぐという練習を行った。
https://news.yahoo.co.jp/articles/125ec01ff33c810b3e6337c3b565ae46c42e98a9
名波コーチ主導でスローイン練習、際立つ代表チームの成熟度

一方、この日の練習のインテンシティー(プレー強度)は高く、パスが規定本数つながらなくとも何度も休憩を入れなければならないほどだった。明るいムードのなかで行われていたものの、選手には一瞬の判断力と正確なボールコントロール、そしてクイックネスが高いレベルで求められる練習だったと言えるだろう。
なぜこの練習が入れられたのか。伊東純也はワールドカップ(W杯)期間中も非公開練習の時にスローインからの展開の練習があったことを明かした。ただし、「今の日本代表はスローインから奪われることや、クイックで始められない時に、ただ前に投げて跳ね返されるってことがあった」との分析があるという。
このトレーニングが組み入れられたのは、当然ながらスローインの改善にある。そしてもう1つ分かるのは、最初の合宿で普通なら優先順位の低いスローインの練習を組み入れられるほど、今の日本代表チームは成熟しつつあるということだ。
この日の名波コーチの指導について、伊東は「コンセプトは変わらないと言っていましたが、新しい感じだと思いました。いろいろ新しいことにチャレンジしていくことが、日本代表にとってのプラスアルファになればいいと思います」と期待を寄せた。
大迫敬介も「名波コーチ、前田遼一コーチという新しいコーチが入ったなかで、やっぱり今までとは違う。コミュニケーションの取り方であったり、指導の仕方であったり、練習メニューも新しくなったりで、フレッシュさをすごく感じます」と刺激を受けていた。
報道陣に非公開だった部分で「今日はビルドアップの練習などをした」と伊東は言う。カタールW杯では相手の猛攻を受け、中盤でなかなか組み立てられなかった日本代表だったが、現役時代はプレーメーカーだった名波コーチがその点を改善できるか。
まだ練習は1日しか指揮していないが、日本代表が次のステップに進むためにはこの中盤の問題点は必ず解決しなければならない。日本代表コーチ陣の手腕が問われる。
